週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で連載中の「クッキングパパ」は、主人公のサラリーマン荒岩一味が、得意の料理の腕を振るって、家族や同僚らとの絆を深めるストーリーが人気。 著者のうえやまとちさん自身が、試行錯誤を繰り返…
画像ギャラリー週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で連載中の「クッキングパパ」は、主人公のサラリーマン荒岩一味が、得意の料理の腕を振るって、家族や同僚らとの絆を深めるストーリーが人気。
著者のうえやまとちさん自身が、試行錯誤を繰り返しながら作り上げた自信作のオリジナルレシピを、詳細なイラストと臨場感あふれる筆致で紹介しています。本欄では3月3日号で通算1600話を突破した膨大なエピソードのなかから、毎週1つを取り上げ、その料理にまつわる四方山話をお届けします。
長引くコロナ禍で、自炊をする人が増えているいま、「クッキングパパ」を参考に料理を作って食べて楽しんでみませんか。第13回目は、「山菜」です。
山菜の「ポリフェノール」が若返りを促進&ストレス改善
突然ですが、「山菜」食べていますか?
山菜とは、野山に自生する食べられる植物です。日本各地にはその風土に適したゼンマイやフキ、ワラビやタラの芽、ウドといった山菜が見られますが、大量生産できないうえ、採取できる種類や量が限られており、希少価値があります。ふだんの食卓でなじみの薄い山菜料理ですが、さまざまな種類が多く出回る春から初夏にかけて、積極的に取り入れたいですね。
というのも、多くの山菜は、その若芽を食べます。「春の皿には苦味を盛れ」ということわざの由来は、気温が上昇し活動的になる春は、旬を迎える山菜に多く含まれる苦味・えぐみ成分が新陳代謝を促し、体内に溜まった余分な脂肪や老廃物、毒素を排出する作用があることによるものです。
苦味の元となるポリフェノールには強い抗酸化作用があり、活性酸素を除去して細胞の若返りを促したり、ストレスの改善も期待できます。まさに“芽吹きのパワー”をいただくことで、環境変化が多いこの時期を乗り切るのを助けてくれる頼もしい食材です。
タケノコのアク抜きに欠かせない「米ぬか」と「赤唐辛子」
なかでも、最も見かけるのが「タケノコ」ではないでしょうか。地方の「道の駅」といった直売所には、店頭に並んだ「朝採りタケノコ」を買い求める多くの人々で賑わっています。
また、青果店やスーパーでもフキやウドなどが売られているところもありますので、見かけたら、ぜひ買い求めてはいかがでしょうか。親戚や知人からおすそ分けをいただく機会もあるでしょう。
いずれにしても、山菜からアクが出続けるのを防ぐため、早く「アク抜き」をして、食べきれないぶんは塩漬けや水煮、冷凍保存するのがおススメです。
クッキングパパ直伝の山菜クッキング うま味を逃がさないコツとは?
クッキングパパ「COOK.34この風味がたまんない! 山菜クッキング」では、「タケノコ」「ワラビ」「フキ」を使った代表的な調理法を紹介していますので、気軽にトライしてみましょう。
まずは、タケノコから。タケノコのアク抜きには、タケノコのえぐみを取り除き、繊維を柔らかくしてくれる米ぬかが必要です。タケノコを販売しているそばに米ぬかが置かれていることが多いので、忘れずに持ち帰りましょう。米ぬかのにおいを軽減し、殺菌作用のある赤唐辛子も一緒に入れるのもお忘れなく。
タケノコを皮付きのまま茹でるのは、うま味を閉じ込めたままアク抜きができるからです。約1時間茹でたら、そのまま十分冷めるまで漬けておくのがポイント。冷めたら皮をはがして、早速活用しましょう。
「若竹煮」は、物のワカメを加えたらさっと煮ることで、タケノコのえぐみを中和してくれるほか、目にも鮮やかな緑色が食欲をそそります。
一方、春の食卓の定番「タケノコごはん」も楽しんで。レシピでは鶏肉も一緒に入れて出汁としょう油、砂糖、塩を加えてご飯を炊き上げます。器によそったら、山椒の若芽を摘んだ「木の芽」を添えると、ふわっと香りが立ちより春らしさが際立ちます。
わらび餅の材料は「わらび粉」ではない!?
次は、「ワラビ」のアク抜きをしていきます。熱湯に塩少々と重曹を入れたところにワラビを投入、沸騰したら取り出して半日水に漬けるとあでやかな緑色に仕上がります。水は、時々取り換えて下さいね。
ところで、ぷるぷるつるんとした食感がたまらない和菓子の「わらび餅」は、ワラビの根から採取したでんぷんで作られます。しかし、ワラビの地下茎を掘り起こしでんぷんを取って乾燥・精製してワラビ粉にする作業は、非常に手間がかかり、採取量もわずか。よって、市販されている多くのわらび餅では、ワラビ粉ではなく加工でんぷんを使っているものがほとんどだとか。ちなみに、本物に近いわらび餅は、黒に近い色をしているそうです。
最後に「フキ」ですが、まずは葉と皮をむいたものをまな板の上にのせてたっぷりの塩をまぶし、板ずりをします。つまりフキをまな板に押し付けて上下にコロコロ転がしながら、全体に塩をよくなじませます。こうすることで、アクが抜けやすくなるうえ、表面が滑らかになって味がしみ込みやすくなります。充分なじんだら、たっぷりの熱湯で茹でてすぐに冷水にとって一晩さらしておきましょう。
いかがでしょうか。山菜は、それぞれにあった方法でアク抜きをすれば、後は野菜と同じように調理すればよく、レパートリーが広がりそうですね。
◆禁止場所、有毒植物、クマ、遭難…採取はマナーを守って
山菜は、昔から地元の人達が適量を採取することによって、長い間、大切に保存されてきました。しかし、近年の健康志向への高まりを受け山菜が注目されたことで、心ない採取者による乱獲がおきているところもあります。山菜採りに関しての注意点を林野庁および各県のホームページ等により、以下にまとめましたので出かける際の参考にしてください。
【1】私有地や国有林といった自然保護地域など、採取が禁止されている場所には、立ち入らない
【2】山菜に似た有毒植物の誤食に注意。確実に知っている山菜しかとらない、食べない、他人にあげない
【3】食べられる分だけ丁寧にとる。根こそぎとらない。翌年以降も再生できる範囲内でとる
【4】クマやハチ、マムシに注意。遭難から身を守るため、ひとりでは山に入らない
※現在は当時の状況と異なる場合があります。
文/中島幸恵、漫画/うえやまとち、メイン画像/ykokamoto-Stock.Adobe.com
◆『クッキングパパ』とは?
福岡市博多を舞台に、商社の営業課に所属するサラリーマン、荒岩一味が家族や同僚、友人らに得意な料理の腕前を披露、食を通じて周囲の人々に笑顔とパワーを与える物語。作中ある料理のレシピは、定番料理からオリジナルメニュー、地元九州の郷土料理まで多岐にわたり、詳細なイラストとポイントを押さえた簡潔な説明はいま、すぐ作りたくなると好評を博している。
週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で1985年から連載している人気シリーズで、2022年5月現在、単行本は161巻。
※「おとなの週末Web」の記事では本稿紹介の漫画、クッキングパパ 「COOK.34この風味がたまんない! 山菜クッキング」を一話丸ごと読むことができます。
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