ラズウェル細木の漫画エッセイ『口福三昧』

日本酒に合う和風アヒージョを作る! ラズウェル細木の漫画エッセイ『口福三昧』(7)

ラズウェル細木の『口福三昧』。アヒージョ

月刊誌『おとなの週末』で好評連載中の「口福三昧(こうふくざんまい)」は、漫画家のラズウェル細木さんが、試行錯誤を繰り返しながら食を楽しむ様子を描いた漫画エッセイです。2021年6月には、連載をまとめた単行本『ラズウェル細…

画像ギャラリー

月刊誌『おとなの週末』で好評連載中の「口福三昧(こうふくざんまい)」は、漫画家のラズウェル細木さんが、試行錯誤を繰り返しながら食を楽しむ様子を描いた漫画エッセイです。2021年6月には、連載をまとめた単行本『ラズウェル細木の漫画エッセイ グルメ宝島 美味しい食の探検へ』(講談社ビーシー/講談社)が刊行されました。単行本未収録の雑誌掲載作を『おとなの週末Web』で特別公開します。ラズウェルさんの“自作解説”とともに、お楽しみください。

※漫画は、画像ギャラリーでもご覧になれます

「和風ということでニンニクはなし」

ご紹介するのは、「日本酒に合う和風アヒージョを作る!」の回(『おとなの週末』2021年7月号掲載)。アヒージョとは、スペイン料理のひとつです。アヒージョの作り方をホームページ(HP)で公開しているケンコーマヨネーズによると、「オリーブオイルとニンニクで食材を煮込んだ料理」のこと。「スペイン語で『小さなニンニク』や『刻んだニンニク』を表す言葉でしかなく、料理のことを指す場合は『食材名+アル アヒージョ』となります」(同HPより)といいます。

ラズウェルさんが挑戦したのは、アヒージョでも、「和風」というのがポイント。漫画の中でも説明していますが、「和風ということでニンニクはなし」が前提です。そもそも、ニンニクを入れなくても、アヒージョになるのでしょうか? この点を尋ねますと―――。

「アヒージョは、ニンニク風味があるのが肝ではあるんですけど、日本料理ではニンニクを基本、使わないので、この際『なし』ということにしたいなと。ニンニクを入れると、そっちに引っ張られてしまうので、日本らしさが失われてしまいますから。思い切ってそこは、やめたんです」

コツは薬味や調味料

またまた、疑問は湧きます。オリーブオイルだけでも、大丈夫なのでしょうか? こう重ねて聞きますと―――。「低温のオイルで、じっくり温めるので、アヒージョという感覚にはなりますよね」という答えでした。

ただ、ニンニクを入れないアヒージョを作るに際しては、コツがあるそうです。「薬味や調味料を加えるということです。わさびだったりですね。今回、『ちりめん山椒』を試しましたが、山椒がそれになります。薬味を付け足すことで、アヒージョらしさを保てます。薬味と調味料ですね」

今回試した具材は、「シイタケ」(塩・七味唐辛子)、「ナメコ」(塩・七味唐辛子)、「納豆」(塩・カラシ)、「カニカマ」(塩・柚子こしょう)、「チクワ・カマボコ・ナルト」(塩・ショウガ)、「マダコ(茹で)」(醤油・わさび)、「ちりめん山椒」、「鶏ササミ」(塩・わさび・大葉)の計8パターンです。

漫画の最終コマには、和風アヒージョおすすめベスト3として、美味しかった料理の順位を載せています。そして、漫画の途中では、「ひ~~っ」という叫び声とラズウェルさんが顔をしかめる描写とともに「予想外の大敗北」と表現した具材も。改めて、どれほど不味かったのか聞くと、「こんなにひどくなるとは。イマイチとかじゃなく、本当にまずい。こんなにまずくなるとは、夢にも思いませんでした」とのこと。ぜひ、漫画でご確認ください。

ちなみに、今回のアヒージョは、「ウチの晩酌で登場機会の多い日本酒に合わせた」(ラズウェルさん)といいます。ラズウェルさんに、自宅でよく飲んでいる日本酒の銘柄も教えてもらいました。ひとつは、広島県呉市にある盛川酒造の「白鴻(はくこう)」の純米、もうひとつは鳥取県境港市にある千代むすび酒造の「千代むすび」の純米吟醸でした。ぜひ、味わってみたい銘柄です。

「日本酒に合う和風アヒージョを作る!」(1)
「日本酒に合う和風アヒージョを作る!」(2)
「日本酒に合う和風アヒージョを作る!」(3完)

『グルメ宝島』には連載20回分を収録

『おとなの週末』に連載中の「口福三昧」は、食通で知られる漫画家のラズウェル細木さんが、食の可能性を追求すべく、さまざまなグルメを味わったり、自身で調理したりした日々の体験について漫画と文章でつづった「漫画エッセイ」です。漫画と文章に加え、写真付きの「おつまみレシピ」も。食に関して幅広い知識が得られる盛りだくさんな内容で、人気を博しています。

単行本『グルメ宝島』には、『おとなの週末』2015年9月号~2017年5月号に掲載された「口福三昧」の中から20回分を選び、収録。冒頭では、「宅飲み・仲間飲みが3倍楽しくなる!簡単激旨レシピ」として、「コンビーフと厚揚げの赤ワイン煮」など、ラズウェルさんが厳選した絶品おつまみ7品をカラー写真で紹介しています。

ほかに、単行本オリジナルのコンテンツも掲載。「ここが美味しい食の研究所 ラズウェル細木の台所公開!」は、食の探究に余念がない著者の自宅台所を図解した貴重な内容です。

※現在は当時の状況と異なる場合があります

『グルメ宝島』(講談社ビーシー/講談社、1430円)

ラズウェル細木

1956年生まれ、山形県米沢市出身。漫画で呑兵衛達の心をくすぐり続けて15年超。旨い食と酒を求めて庶民目線で描いた作品が人気を博している。代表作に『酒のほそ道』(日本文芸社)、『う』(講談社)、『大江戸酒道楽』(リイド社)、『ときめきジャズタイム』(ジャズ批評社)などがある。2012年、手塚治虫文化賞短編賞を受賞。2010年、米沢市観光大使に就任。現在は月刊誌『おとなの週末』(講談社ビーシー/講談社)で新しい食の美味を研究する「口福三昧」を連載中。

画像ギャラリー

この記事のライター

関連記事

江戸家猫ハッピーさんの画廊「猫満福庵」が伊豆高原にオープン 相葉くんも仰天、イノシシ写真家の作品を今夏展示

茶葉を漬けた「お茶焼酎」を飲み比べた結果は ラズウェル細木が最終回で飲んだ“幻の焼酎”

山形の郷土料理を“麻婆化”してみたら、こんな結果に ラズウェル細木の大胆な挑戦

【後編】崎陽軒「シウマイ弁当」は弁当の“置き方”で味わいが変わるのか ラズウェル細木の漫画エッセイ『口福三昧』(18)

おすすめ記事

“タワマン”の日本初の住人は織田信長だった? 安土城の「天守」ではなく「天主」で暮らした偉大な権力者の野望

芝浦市場直送の朝締めホルモンは鮮度抜群 高円寺『やきとん長良』は週末の予約は必須

不思議な車名の由来は「ブラックボックス」 ”ミレニアム”に鳴り物入りでデビューした革命児の初代bB 

大分県に移り住んだ先輩に聞く(2) 移住でウェルビーイング「移住とはコミュニティの中でその想いを受け継ぐこと」

収穫を感謝する「加薬うどん」 美智子さまと雅子さま夫妻で交わす大切な重箱

講談社ビーシー【編集スタッフ募集】書籍・ムック編集者

最新刊

「おとなの週末」2024年12月号は11月15日発売!大特集は「町中華」

全店実食調査でお届けするグルメ情報誌「おとなの週末」。11月15日発売の12月号は「町中華」を大特集…