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醤油のつけ方もご自由に

よく、寿司を醤油につけるときにどうするのが本当の作法なのかと聞かれることがあります。これは私の勝手な言い分ですが、これが正しいなんてやり方はありません。

確かに、寿司をひっくり返して醤油はネタにつけろとか、ウニやイクラの軍艦巻きにはガリ(生姜)を醤油にひたしてつけろとか聞いたことはあります。

でも、せっかく一生懸命握った寿司を逆さまに持ってネタがはがれてしまったり、ガリにつけて持っていくときにこぼれた醤油でカウンターをビタビタにしたんじゃしょうがないでしょう。

寿司を傾けて斜めにしてつけてもよし、シャリにちょこっとつけてもよし、自分が食べやすいように食べればいいんです。

もし、どうしても不器用でうまく醤油をつけられないとおっしゃるなら、板前に「ツメをつけて出してください」と頼めばすむ話です。

自分の店ではこうしてくれなきゃ困るというようなクオリティの高い店ならいざしらず、下町の手前どものような店なら好きにしていただいてなにも問題ありません。あまり難しく考えるとろくなことはありません。たかが醤油でせっかくの食事がまずくなっちゃあいけません。

町の寿司屋には町の寿司屋なりの楽しみ方があります。クオリティの高い店なら最高級のネタと熟練の技を、回転寿司なら手頃な値段で腹いっぱい食いたい。町の寿司屋にはそれぞれの味とそれぞれの雰囲気があります。

どこかで評判を聞いて、あるいはふらっと入った店で、自分の舌に合った味を探す、自分が楽しいと思える雰囲気の店を探す。これがいいじゃないでしょうか。子供の頃ならいざ知らず、いい大人が背伸びしたってろくなことはありません。

そうやって行きつけの店にしていただけたら、手前どもとしてもそれ以上の幸せはありません。

(本文は、2012615日刊『寿司屋の親父のひとり言』に加筆修正したものです)

安心して「おきまり」の並を頼める店です。

すし 三ツ木

住所:東京都江東区富岡1‐13‐13
電話:03‐3641‐2863
営業時間:11時半~13時半、17時~22時
定休日:第3日曜日、月曜日
交通:東西線門前仲町駅1番出口から徒歩1分

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おとなの週末Web編集部 今井
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