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魚もゴマもストレスも!? 無心ですって心が整うクッキングパパレシピの楽しさ

これぞ日本の味! 夏をひんやり彩るオリジナル冷や汁レシピは栄養満点 (クッキングパパ『COOK.132 日本の味 冷や汁(ひやしゅる)』より)

まず、アジやカマスなど好みの魚を焼いている間、昆布だしを取って冷ましておきます。その間、キュウリの薄切り、ミョウガやシソなどの薬味も千切りにします。ゴマも香りを出すため軽く煎っておきましょう。焼き魚は、小骨まで注意深くとって身をほぐします。

さて、ここからがポイントです。大きめのすり鉢に煎りゴマを入れ、すりこぎ棒をくるくる回しながら、粒がなくなるまですります。さらにほぐした魚の身を加えてすり、最後に味噌を入れてねっとり粘りが出るまですり続けます。根気強く、です。

余談ですが、すりこぎ棒に山椒の木が多く使われているのは、なぜでしょうか。調べてみると、山椒の木には解毒作用があり、すりこぎ棒でする際に出る削られた粉が食材と混ざり合って食あたりを防ぎ、香りづけにも最適とのことです。

昔ながらの道具には先人の知恵がつまっており、それを知るとますます愛着が沸くというもの。忙しい毎日、時々はすり鉢とすりこぎ棒を棚の奥から出して、無心で回すと雑念が消え心も整って、清々しささえ感じられる――これまた料理の醍醐味ではないでしょうか。

本題に戻りましょう。すりおわったら、すり鉢の中身を鉢の内側にまんべんなく広げて塗り付けます。それをガバッと鉢を逆さまにひっくり返し、底の出っ張りを持ってコンロ口で中火に当て、うっすら焦げ目がつくまで炙りましょう。魚とゴマ、味噌が相まって香ばしい匂いがいっそう食欲を刺激します。

そこへ冷ました出汁を注ぎ、キュウリや大葉、梅干し、ミョウガなどを浮かべてサッとご飯にかければできあがり! お子さんからご年配の方まで、汁もののようにスルスルとのど越しが良くて栄養満点、厳しい暑さのさなか食卓への出番が多くなりそうですね。

うどんからおひたしまで…ユニークなご当地冷や汁

冷や汁=宮崎県のイメージが強いですが、実は全国各地には、食文化や風土、気候といったさまざまな条件で定着した「冷や汁」が存在します。

前回(第19回「うどん」)の本連載で、北関東は良質な小麦に恵まれ、“うどん文化”が発達している旨、記載しました。そのなかで埼玉県を中心に栃木県、群馬県では、冷や汁をうどんやそうめんのつけ汁として食べる「冷や汁うどん」が夏の食卓の定番です。海なし県の北関東3県は宮崎県とは違って、焼き魚は入っていません。具材のすりたてを食べることから、「す(つ)ったて」とも呼ばれています。

また、山形県の「冷や汁」は、干し貝柱やシイタケ、凍みこんにゃくや豆腐でとった出汁に茹でたほうれん草や小松菜といった旬の野菜を浸していだきます。汁ものというより「おひたし」ですね。こちら、夏に限らず年間を通して親しまれているそうです。

冷や汁をいただいて、風鈴の音色を聞きながら縁側で夕涼み…忘れられつつある日本の夏の風情を味わってみてはいかがでしょうか。

文/中島幸恵、漫画/うえやまとち

◆『クッキングパパ』とは?

福岡市博多を舞台に、商社の営業課に所属するサラリーマン、荒岩一味が家族や同僚、友人らに得意な料理の腕前を披露、食を通じて周囲の人々に笑顔とパワーを与える物語。作中ある料理のレシピは、定番料理からオリジナルメニュー、地元九州の郷土料理まで多岐にわたり、詳細なイラストとポイントを押さえた簡潔な説明はいま、すぐ作りたくなると好評を博している。

週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で1985年から連載している人気シリーズで、2022年4月現在、単行本は161巻。

※「おとなの週末Web」の記事では本稿紹介の漫画、クッキングパパ 「COOK.132 日本の味 冷や汁(ひやしゅる)」を一話丸ごと読むことができます。

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中島幸恵
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