京都の夏は暑い。日中35度を超える日も珍しくない。そんな京都で「避暑」が出来て、「開運」を呼び込み、そして河床でのフルコースの「美食」を堪能できるスポットがある。 京都の奥座敷・貴船へ 今回出かけた貴船神社が、その地であ…
画像ギャラリー京都の夏は暑い。日中35度を超える日も珍しくない。そんな京都で「避暑」が出来て、「開運」を呼び込み、そして河床でのフルコースの「美食」を堪能できるスポットがある。
京都の奥座敷・貴船へ
今回出かけた貴船神社が、その地である。京都駅から北へ約18km、山々に囲まれた京都の奥座敷といわれる場所。京都駅から電車やパスなどの公共交通機関を使うと40分ほどで、貴船神社に到着する。
私は叡山電車を利用して貴船口駅で下車した。ちなみに、貴船は「きぶね」と読むが、貴船神社のみは水の神様を祭る神社で、濁ることが好ましくないため「きふね」と発音するのだという。駅から出てすぐに、貴船川の清流が目に飛び込んでくる。この貴船川は鴨川の源流にあたる。澄んだ穏やかな流れ。水中の苔や川藻も透けて見えるほど透明度は高い。川を渡るひんやりとした風が来た人を迎えてくれる。「あっ、涼しい」と、思わず声が出る。
坂を少し登ると、そこに貴船神社。NHKの人気番組「ブラタモリ」で、「京都・鴨川~川をたどれば京都がわかる!?~」というテーマで水の神様を祀る神社として紹介された。(2022年6月18日放送)。
風鈴がチリンと鳴った…風と涼の別世界
鳥居をくぐると、真っ先に七夕飾りが目に飛び込んでくる。その奥に本宮が位置する。本宮横の休憩処・龍船閣には風鈴と友禅柄の風車が飾られている。風鈴がチリンと鳴って風車がクルクルと回ると、まさにそこは風と涼の別世界だ。夏の風情を感じる。ここは鞍馬山(標高570m)と貴船山(標高700m)の間に位置して、横に貴船川が流れていることもあり、京都市内より2~3度ほど気温が低く感じる。
貴船神社は、三つの社からなる。貴船口駅から近い順に、本宮、結社、奥宮である。
本宮は高龗(たかおかみ)という水神を祀り、ここから湧き出る水には神聖な力があるとされる。水占いおみくじは、若い女性たちを中心に人気がある。
結社は、磐長姫命(いわながひめ)を祭り、縁結びの神である。平安時代の歌人・和泉式部が、心が離れた夫との復縁を祈願して叶ったと伝えられている。
奥宮は高龗神(一説には、闇龗)が祀られており、航海の安全を守る神として知られる。
創業90年の老舗料理旅館でいただく「川床料理」
前述した通り、本宮の横の社龍船閣では風鈴と風車が楽しめるが、この二つとは別に格段の体験ができる。
若者に人気のミュージシャン、コムアイとオオルライチのジョイト音楽が、山並みと清流と風車、風鈴を眺めながらヘッドホンで聴ける。貴船神社で採られた音をアレンジした土地に根付いた物語のある音楽だ。自然の音を取り込んだ音は、これまでに体験したことがない。
貴船神社の神聖さと癒しを与えてくれる音色だ。但し、これを聴くにはヘッドホンが一つしかない。私が行った際には、他に使用する人が見当たらなかったのでラッキーだった。唯一無二の世界に浸れた(料金は300円)。
本宮での参拝を済ます。そして貴船神社の湧水をミニボトルに詰めて(オリジナルのボトルを500円で販売)、持ち帰る。さて、神社を後にして昼食だ。
貴船神社下にある昭和7年創業の老舗料理旅館「ひろや」で、川床料理をいただく。川の上に土台を作って板を敷き、水上レストランが出来ている。川の流れが冷気を呼び、涼しい神社よりもさらに涼やかだ。
ビールもキンキンに冷えており、お造りや鮎の塩焼き、ハモを堪能する。最高の涼の美食だ。川の流れに目をやりながら、京都の夏を味わう。街中の蒸し暑さとは無縁の別世界。そこに風が私の頬を撫でる。風の京都、涼しい風を感じる貴船神社は、今この夏しか体験できない。
文/出樋一親
※平安遷都1200年の節目(1994年)に先駆けて、1993年秋からスタートしたJR東海の大型キャンペーン「そうだ 京都、行こう。」。毎年季節ごとにテーマを設けて続いていますが、2022年夏の「そうだ 京都、行こう。」は、「京の涼さがし」キャンペーンを展開中です。この京都の奥座敷・貴船エリアもおススメスポットとして紹介されています。
・「京の涼さがし」キャンペーン(6月25日~9月30日)
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