近くの浅草や上野に比べると、少し地味な印象のあるこのエリア(事実、山手線で一番乗降人数が少ないのが鶯谷)。しかし鶯谷は徳川将軍家の菩提寺である寛永寺をはじめとして寺社が多く落ち着いた雰囲気もあり、また鶯谷、入谷、根岸それぞれの駅から少し歩けば、そこかしこにこだわりの個人店が。駅近くの喧騒と路地裏の静寂、そして人情にふれる美味散策をしてみよう。どこも常連、一見の差がなく、ふらり訪れても心地よく楽しめる店ばかりだ。と、寺社巡りだけでなく、食べ歩きも楽しいエリア。今回は、中でも人情に厚く、味についてはもちろん、街の歴史の話などでも盛り上がれる飲食店を紹介します!
昼 店主のこだわりが詰まった逸品をリーズナブルに
『天扶良 からくさ』 @入谷
熟練の技でカラリと揚げた天ぷらランチで英気を養う
天ぷらひと筋およそ50年。「技はないんです。慣れですよ、慣れ」と店主の清水さんはサラリと笑うが、食べりゃ伝わるその腕の良さ。油は香り高い極上の玉絞め搾りごま油をブレンドしたもので、ランチでも揚げ立てを1品ずつ供してくれる。
くさ天(昼) 1870円
魚は豊洲から、野菜は妻の扶美子さんが上野や浅草まで回って質のいいものを買い出しに。あ・うんの呼吸で切り盛りする夫妻の店に通う常連客は数多い。何と1~2時間かけて来る人もいるとか。春は山菜、夏はハモなど単品を好きに選んで季節の味を楽しむのもまた一興だ。
[住所]東京都台東区下谷2-9-7
[電話]03-3872-3788
[営業時間]11時~14時、17時半~21時半
[休日]月
[交通]地下鉄日比谷線入谷駅4番出口から徒歩1分
『レストランQ』 @鶯谷
鶯谷のお母さんが手作りする栄養満点のでっかい旨さ
あの著名な文化人もその企業のお偉いさんも、この店に来たらみ~んなワンパクな子供に戻る。料理は王道の洋食からサバ味噌煮まで常連客の要望でどんどん増えて約100種。ひとりで作る名物店主、それが本部さんだ。基本的に年中無休、通し営業。その小柄な体のどこにそんなパワーがあるのか。
エビフライとメンチカツカレーセット 1300円
昔懐かしい味はボリュームも満点で、ポークソテーにハンバーグ、カニクリームコロッケがセットになった鉄板料理なんてもう夢かと思ったよ。熱々をハフハフと頬張れば、心も胃袋もホットな優しさで満たされる。
[住所]東京都台東区根岸3-6-3 エビハラビル2階
[電話]03-3873-7890
[営業時間]11時半~22時(21時20分LO)
[休日]無休
[交通]JR京浜東北線ほか鶯谷駅北・南口から徒歩5分
『山月 中国家庭料理』 @根岸
昼も夜も通いたくなる本格&家庭的な中国料理
中国・ハルビン出身の王さん家族が営む。研究に研究を重ねた料理は日本人の舌に合うようさっぱりとした味わいが主流だ。昼の人気は担々麺。
(奥)焼餃子 360円(夜は+消費税10%) (手前)担々麺 980円(夜は+消費税10%)
自家製のゴマダレとラー油が織りなすコク深いスープが特徴で、細麺にたっぷり絡む。松の実と山椒も実に香り豊かだ。お腹に余裕があればぜひ妻の張麗さんが作る餃子もいっちゃおう。珍しいのは餡に春雨と山クラゲが入ること。肉汁を吸ったそれはしっかりした旨みと食感が伝わってくる。夜は本格中華に目移り必至。昼・夜ともに使い勝手が良く、長~く愛したい店。
[住所]東京都台東区根岸4-7-4
[電話]03-6240-6478
[営業時間]11時~15時、17時~22時半
[休日]水
[交通]JR京浜東北線ほか鶯谷駅南口から徒歩10分
ぶらり歩いて、自分好みの神社を見つけよう!
鶯谷・入谷・根岸エリアを歩いていると、あちこちで目にする神社やお寺。何てったって鶯谷駅の真ん前には「元三島神社」が鎮座してるし、江戸三大鬼子母神で知られる入谷鬼子母神「眞源寺」は朝顔市でも有名ですよね。
改めて回ると「こんなところに神社が?」てことも。発見の楽しさがありました!
今回取材を担当した『おとなの週末』ライター肥田木が好きなのは「小野照崎神社」。境内には猫が昼寝してたりして和める~。学問・ 芸能・仕事の神様として信仰されているそうで、恋愛より仕事で成功したい私にピッタリ!
鼻息荒くお参りしてたら『おとなの週末』編集武内が「いつも占いでオトコ運ナシって言われてるから、仕事にすがる訳か、うひひ」。ちっバレたか。そんな武内のお気に入りは「靍護(かくご)稲荷神社」。スーパーの横にポツンとあり、見逃してしまいそうな立地。
なるほど発見感があるね。「加えて小さな神社にもかかわらず、どこよりもパワースポット的な雰囲気がある感じがいい。元三島神社からスタートしていろいろ巡るのがおすすめ」あなたもぜひ探してみて!