今年でデビュー50周年を迎える漫画家・村上もとかさん。その半世紀の足跡をたどる原画展が、東京都文京区にある弥生美術館で開催されている。
50年前、『ドカベン』『ベルばら』連載開始時にデビュー
村上さんが『燃えて走れ』(週刊少年ジャンプ)でデビューしたのは昭和47(1972)年。
この年に連載が開始された漫画は、手塚治虫『ブッダ』、池田理代子『ベルサイユのばら』、萩尾望都『ポーの一族』、水島新司『ドカベン』『野球狂の詩』、石ノ森章太郎『人造人キカイダー』、永井豪『デビルマン』、楳図かずお『漂流教室』、ちばあきお『キャプテン』、中島徳博『アストロ球団』、藤子不二雄A『魔太郎がくる!!』と、いまやニッポン漫画のレジェンドとなっている漫画たちの綺羅星のごとき作品が並ぶ。
あれから半世紀。村上さんは、いまだ現役漫画家としてメジャー漫画誌で連載を続けているが、すごいのは、その息の長さだけではなく、この間ずっとヒット作を、しかもバラエティに富んだヒット作を世に送り出し続けたことである。
アニメにもなった『六三四の剣』
デビューから5年目の1977年、週刊少年サンデーに日本に最初のF1ブームを巻き起こした『赤いペガサス』を連載開始。カーレースを題材にした漫画といえば、今でもランキングの上位に上がる作品だが、執筆当時、村上さんは運転免許を持っていなかったという、ウソのようなホントの話がある。
80年代に入ると、山岳漫画の名作『岳人(クライマー)列伝』、テレビアニメにもなった剣道漫画の傑作『六三四の剣』が続く。
『岳人列伝』は、村上さんによれば、どうしても描きたい1枚の絵のためにひとつの話を作りこんでいったというシリーズで、自分が漫画家を続けていけるという自信を得た作品だったという。
『六三四の剣』は、剣士夫婦のもとに生まれた少年が、ライバルたちと切磋琢磨し、様々な困難を乗り越えていくという少年漫画の「ザ・王道」を行った作品。当時、この作品に影響されて剣道を始めたという少年は多かった。