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『藤屋豆腐店』 @上野桜木

さじ加減は手でわかる お客さんに愛され続ける手作りの味

「おたくの豆腐は毎日食べてるけど飽きないねってよく言われたよね」、そう話してくれたのは『藤屋』の二代目にあたる高橋敬(ひろし)さん。

自身は80歳を境に引退したというが、お父さんが大正3(1914)年に開いた店を継いで、60年以上にわたり“藤屋の豆腐”を作り続けてきたその人だ。

藤屋の豆腐は確かに飽きない。そして「ああ、これだよな」という昔ながらの味がする。ずしりとした木綿豆腐は素朴な風合いで、そのままでも旨いが、薬味をのせてちょっとだけ醤油をたらすとまたいい。

「もめん豆腐」250円  「玉どうふ」(2個入り)270円

『藤屋豆腐店』しっかり締まった肌合いがそそる、存在感抜群の「もめん豆腐」(手前)250円。冷奴でも湯豆腐でも、いかようにしても旨い。見た目も可愛らしく、やさしく豆の甘い旨みが広がる「玉どうふ」(奥・2個入り)270円も人気だ

口の中で後からふっと豆腐らしい旨さが広がる。「手作りだから毎日同じのはできないわけだ」と高橋さんの話は続く。

乳白色の豆乳ににがりを入れ、自家製の杓子でかき回す。その波立ち具合や手応えでさじ加減を調整する。機械であれば1年中同じ。でもこちらは毎日少しずつ違う。「それがお客さんの波長に合えばおいしいって言ってくれるのかな」。

基本的な製法は変わらない。昔からの良質な井戸水を使い、国産の大豆と天然にがりを使う。先頃は、四代目になる孫の茂さんが加わった。「俺は口を出さないよ」。そう言いながら敬さんはうれしそうだ。

『藤屋豆腐店』「生まれたまんまの姿で売りたい」と、水の中に入ったままみずみずしく二重包装された豆腐の包装(手前右)もこちらならでは

[住所]東京都台東区上野桜木1-12-9
[電話]03-3821-3578
[営業時間]7時〜19時
[休日]日、祝日の午後
[交通]JR山手線鶯谷駅北口から徒歩8分

『あらいや豆腐店』 @雪が谷大塚

老舗三代目が紡ぐ 豆腐の未来を切り開く新しい試み

「父や母も新しいものが好きだったけれど、やっぱり血筋かな」。そう言って笑うのは『あらいや豆腐店』の三代目にあたる木村哲祥さん。店に並んだ目を見張るような多彩な商品に対してのセリフだ。

「季節のがんもどき」、「豆乳おからドーナツ」に「揚げ出し豆腐」とまあこの辺は想定の範囲内。だがポンデケージョならぬ「ソイデケージョ」や生春巻きに擬態した「梅ちゃんロール」にはびっくり。

こちらは木村さん夫婦を筆頭に、長男・次男夫婦という大家族経営。その総指揮を執るのが木村さん。ふたりの息子さんを大学と並行して調理師学校に通わせたというから、木村さんの未来構想はそのあたりから始まっていたのだろう。

長男は和食、次男はイタリアンの料理人を経験し家業へ戻って来た。今では世代や得意分野の違う6人が、毎日のようにアイデアを出し合って個性的な商品を生み出す。

「ざる豆腐」594円 「本絹豆腐」259円

『あらいや豆腐店』豆腐はすべて国産大豆、天然にがりのみを使ったピュア味わい。盛り付けられた風情が食欲をそそる「ざる豆腐」594円は食べ応えがある。塩とオリーブオイルで食べるのもおススメ。自慢の「本絹豆腐」259円はとろりとなめらかな舌触り

『あらいや豆腐店』は創業からずっと国産大豆にこだわり、本物の豆腐を作り続けてきた。そこはブレることはないが、その一方で木村さんは新しいことにも積極的に取り組んでいる。自身の店はもちろん、豆腐の未来をも切り開こうとしているのかもしれない。

『あらいや豆腐店』

[住所]東京都大田区南雪谷2-11-19
[電話]03-3729-1742
[営業時間]製造完了後(11時頃)~18時
[休日]日・祝
[交通]東急池上線雪が谷大塚駅から徒歩1分

撮影/鵜澤昭彦(とうふ工房 ゆう、あらいや豆腐店)西崎進也(とうふや おもむろ、ゆばと豆腐の店 豆源郷、藤屋豆腐店)、取材/池田一郎(ゆばと豆腐の店 豆源郷、藤屋豆腐店)、岡本ジュン(とうふや おもむろ、あらいや豆腐店)

※2022年10月号発売時点の情報です。

※全国での新型コロナウイルスの感染拡大等により、営業時間やメニュー等に変更が生じる可能性があるため、訪問の際は、事前に各お店に最新情報をご確認くださいますようお願いいたします。また、各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いいたします。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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おとなの週末Web編集部
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