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週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で連載中の「クッキングパパ」は、主人公のサラリーマン荒岩一味が、得意の料理の腕を振るって、家族や同僚らとの絆を深めるストーリーが人気。

著者のうえやまとちさん自身が、試行錯誤を繰り返しながら作り上げた自信作のオリジナルレシピを、詳細なイラストと臨場感あふれる筆致で紹介しています。本稿では3月3日号で通算1600話を突破した膨大なエピソードのなかから、毎週1つを取り上げ、その料理にまつわる四方山話をお届けします。

長引くコロナ禍で、自炊をする人が増えているいま、「クッキングパパ」を参考に料理を作って食べて楽しんでみませんか。第30回は「サンマの飯」です。

秋が旬の「さんま」 今年は豊洲で1匹1万3200円の“高級魚”に

サケと並ぶ秋の海の幸、さんまが“食卓の高嶺の花”となりつつあります。2022年7月、北海道・釧路から東京・豊洲市場に初入荷したサンマはわずか10匹のみ。卸値は、豊洲市場で過去最高値の1キロあたり12万円、1匹ではなんと1万3200円と記録的な高値がつくほどの深刻な不漁から始まりました。

これから秋本番に向けて漁獲量が増え、価格が落ち着いたなら、脂ののったサンマを丸ごと海苔巻きにした、クッキングパパ第10巻「COOK.100 サンマの飯(まんま)」を味わってはいかがでしょう。

焼きたてさんまをご飯で包む! 荒岩流「サンマの飯」レシピ

さんまの頭と尻尾がのぞく正しく丸ごと1匹「サンマの飯」レシピ!(クッキングパパ『COOK.100 サンマの飯(まんま)』より)

サンマごはんは、サンマもごはんも焼き立て、炊き立てが命。さんまが焼ける少し前にごはんが炊き上がって蒸らし終えているように時間を調整します。その間、巻きすの上に海苔を敷いて準備しておきます。海苔は光沢のある面を下にして、1枚と半分を2cmほど重ねます。

さんまが皮までパリッと焼き上がったタイミングで、炊き立てごはんを素早く海苔の上に広げます。海苔の上は巻き終わりの部分になるので、2cmほど残しておくのと、サンマの尻尾をのせる下のごはんの量は、少し多めにしておきます。

さんまは、全体の真ん中よりやや手前にのせて。お子さんやお年寄りでも食べやすいように、エラの下から開いて、中骨をそっと抜き取り、上から醤油をかけて手前から巻いていきます。両手の中指でさんまをギュッと押さえながら、ゆっくり奥に向かって形を整えて転がしていくのがコツです。

さんまとごはん、海苔の三位一体が落ち着いたら巻きすをはずして、ひと口大に切ります。その際、予め包丁を濡れぶきんで濡らしながら切ると、ごはんがくっつかず切り口がキレイに仕上がります。

ちょうど出回り始めた新米とも相性抜群! 消化を助ける大根おろしをのせたり、レモンをギュッとしぼってかけて脂っぽさを中和したりして、豪快に頬張りましょう。炭火を使うバーベキューコンロは魚を焼くのにも最適ですから、アウトドアクッキングのメニューにもおススメです。

ウクライナ侵攻、燃料費高騰が拍車で過去最低の漁獲量に

農林水産省によると、2021年のサンマの漁獲量は1万9500トンと過去最低を記録。10年前と比べて10分の1以下にとどまっています。地球温暖化で海水温が上昇しているため、サンマの生態系が乱れているなどの影響が考えられますが、2022年秋は新たな問題が浮上しています。

さんま漁の一部の漁場がロシアとの国境付近になっており、ウクライナ侵攻による日露関係の緊張状態が続いているため、多くの漁船が国境近海での操業を取りやめているほか、船の燃料費の高騰といった国際情勢の荒波にもまれているのです。

海の中にも一刻も早く平和が訪れますように…と願いつつ、感謝していただきたいですね。

文/中島幸恵、漫画/うえやまとち

◆『クッキングパパ』とは?

福岡市博多を舞台に、商社の営業課に所属するサラリーマン、荒岩一味が家族や同僚、友人らに得意な料理の腕前を披露、食を通じて周囲の人々に笑顔とパワーを与える物語。作中ある料理のレシピは、定番料理からオリジナルメニュー、地元九州の郷土料理まで多岐にわたり、詳細なイラストとポイントを押さえた簡潔な説明はいま、すぐ作りたくなると好評を博している。 週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で1985年から連載している人気シリーズで、2022年9月現在、単行本は162巻。

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中島幸恵
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