ビギナーは具材がのった伊勢うどんを食べるべし
「伊勢うどんを食べ慣れていないビギナーさんにはネギだけの伊勢うどんよりも、何かしらの具材がのったものの方が食べやすいと思います。じゃ、行きましょうか」(加藤さん)
案内されたのは、JR伊勢市駅から車で5分ほど走らせた住宅街の中にある『つたや』。ここの名物は、丼一面に焼豚をのせた「焼豚伊勢うどん」(800円)。私はそれを、加藤さんは「伊勢かやくうどん」(700円)を注文した。
焼豚はとても柔らかく、甘辛いタレにもよく合う。何よりも、食べ進むうちに焼豚の旨みがタレに染み出して、どんどんおいしくなるではないか!
意外だったのが麺。やわやわであるのは間違いないが、筆者が10年以上前に食べたときと印象が違う。わずかにもっちり感があるのだ。おかげでとてもおいしく食べることができた。
一方、加藤さんが注文した「伊勢かやくうどん」(700円)は、カマボコと揚げ、花麩、麩、ゆで卵、ナルトと盛り沢山。いろんな味が楽しめそうな一杯だ。が、加藤さんの表情は浮かない。で、食べ終わって一言。
「うーん……。やっぱり、私はネギだけのシンプルな伊勢うどんが好きだなぁ。そもそも、地元の人は具材をのせたのはあまり食べませんからね」
筆者が暮らす名古屋といえばきしめんだが、地元の人はかけきしめんしか食べないということはない。天ぷらや玉子とじも喜んで食べる。伊勢の人は食に対して保守的なのだろうか。