週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で連載中の「クッキングパパ」は、主人公のサラリーマン荒岩一味が、得意の料理の腕を振るって、家族や同僚らとの絆を深めるストーリーが人気。
著者のうえやまとちさん自身が、試行錯誤を繰り返しながら作り上げた自信作のオリジナルレシピを、詳細なイラストと臨場感あふれる筆致で紹介しています。本稿では3月3日号で通算1600話を突破した膨大なエピソードのなかから、毎週1つを取り上げ、その料理にまつわる四方山話をお届けします。
長引くコロナ禍で、自炊をする人が増えているいま、「クッキングパパ」を参考に料理を作って食べて楽しんでみませんか。第40回は「シーフードパエリア」です。
クッキングパパ特製レシピはシーフードを使った本格派!
パエリアは、スペイン東部バレンシア地方が発祥とされる郷土料理です。世界中の人々に親しまれ、日本でも近年、パエリア専用の鍋が多く販売され、家庭に広がりをみせています。
クッキングパパ第16巻「COOK.153 豪華!! パエリア」では、カニやエビなどのシーフードを使い、フライパン一つで簡単に本格派の味を楽しむことができます。
魚介類の下ごしらえから始めましょう。エビ(車エビや芝エビなど)は足と頭、殻をむいて背ワタを取り除きます。頭はあとでスープの出汁に使うので捨てないで!
カニ(ワタリガニやズワイガニなど)は、沸騰した湯に塩を入れ、15~20分ほど茹で、冷めたら2等分しておきます。イカは、ワタを抜いて輪切りにします。ゲソも食べやすく切ります。
小鍋にスープを作って、温めておきます。コメの1.2倍の分量の水に、規定の半分の程の濃さで固形スープの素を溶かします。希少なスパイス、サフランは少量の水に15分以上浸すと、鮮やかな黄色が染み出します。エキゾチックで高貴な香りは、魚介の生臭さを消してくれます。高価ではありますが、古来より生薬に使われるほど効能があるとされますので、この機会に使ってみてはいかがでしょう。
荒岩流シーフードパエリアはエビの頭からプロの味わい!?
中華鍋もしくはフライパンをよく熱してオリーブオイルを入れたら、取っておいたエビの頭を潰してミソを出し、良い香りがしたら取り出します。このひと手間が、プロの味に近づけてくれますのでお忘れなく。
エビとイカに塩コショウをしてサッと炒め、取り出しておきます。再び、フライパンを熱してバターを入れ、アサリとハマグリを投入。口が空いたら即、汁ごと他の器に移します。魚介はどれも、身が固くならないうちに一旦取り出すのがポイントです。
再度温めたフライパンにバターを入れ、みじん切りした玉ねぎを炒め、しんなりしたら米を洗わずにそのまま加え、軽く炒め合わせます。その際、力を入れて米が割れぬよう注意しましょう。
米が透き通ってきたら、サフランを水ごと加え、熱々のスープを注ぎます。エビ、イカ、カニを入れて蓋をし、沸騰するまで中火、その後弱火にして15分、火を止めて刻んだパセリを振りかけて蓋をして10~15分蒸らしてできあがり!
米一粒に魚介の旨味がたっぷり染み込んで、白ワインとともに箸が止まりません。華やかな見た目で、効率よく魚介類が摂取できるので、お子さんにもおススメです。
今回は、奮発して豪華なシーフードを使っていますが、冷蔵庫の残り物の肉や野菜を組み合わせても美味しくいただけます。
連日、熱戦が繰り広げられるサッカーのワールドカップ(W杯)。いよいよ12月2日には、強豪スペインとの一戦を控えています。応援とともに、対戦国の料理を作る楽しみも増えそうですね。
文/中島幸恵、漫画/うえやまとち
◆『クッキングパパ』とは?
福岡市博多を舞台に、商社の営業課に所属するサラリーマン、荒岩一味が家族や同僚、友人らに得意な料理の腕前を披露、食を通じて周囲の人々に笑顔とパワーを与える物語。作中ある料理のレシピは、定番料理からオリジナルメニュー、地元九州の郷土料理まで多岐にわたり、詳細なイラストとポイントを押さえた簡潔な説明はいま、すぐ作りたくなると好評を博している。 週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で1985年から連載している人気シリーズで、2022年10月現在、単行本は163巻。