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“海軍カレー”として人気に

カレー料理は、17世紀にインドを植民地としていたイギリスに伝えられ、王室料理にも加えられました。香辛料を配合して一からカレーを作るのは手間がかかったため、当初は上流階級向けの高級料理でしたが、18世紀末にCross&Black well社によりカレー粉が市販されると、一般家庭にも広がるようになり、カレー料理は一時欧州諸国で流行したそうです(参考[2])。

カレーが日本に伝わったのは、鎖国が終わった幕末から明治初期の頃と考えられています。日本では米飯と結びつき、「ライスカレー」として広まりました。伝来地は、当時開港された北海道や神戸など諸説ありますが、1859(安政6)年に開港された横浜というのが通説となっています。なお、横浜の開港記念日である6月2日は、「カレー記念日」という記念日にもなっています。これは2001年にオープンし2007年に閉館した「横濱カレーミュージアム」というフードテーマパークが制定したもので、同テーマパークが運営されていた当時は、カレーにまつわる趣向を凝らしたイベントが盛大に開催されることもありました。

明治末期には、ライスカレーのほかカレーうどんやカレーそばが食堂のメニューに出るようになり、次第に大衆化されましたが、国内に広く浸透した契機の一つとして、軍隊食に採用されたことが大きいとの説が有力です。

大日本帝国海軍では、1884年に脚気対策としてイギリス海軍の兵食を参考に給食が洋食化されました。イギリスではシチューが好んで食べられますが、日持ちしない牛乳が必要なため、長期間乗船する船員たちはなかなか食べる機会がありませんでした。そこで、シチューと同じ具を使い、日持ちする香辛料を使って作ったのがイギリス流のカレーで、イギリス海軍の定番食となっていたそうです。1889年(明治22年)の海軍省からの通達では、五等厨夫が学ぶ科目の一つに「ライスカレー」があげられています。

また、文献として残っている最も古いレシピは、1908年(明治41年)に発行された『海軍割烹術参考書』で、「カレイライス」として載っています。カレーは一度に大量に作るのが容易で、栄養バランスも良く、後片付けも簡単、さらにおいしくて人気が高いため、兵食としてうってつけのメニューなのです。

現在、海上自衛隊では、毎週金曜日の昼食にカレーライスを食べる慣習があります。以前は土曜の午後が休みだったため、片付けを簡単に済ませられるカレーを土曜日の昼食に食べていたそうです。週休二日制が普及してからは、週末は金曜日という観念が定着し、金曜日の昼食にカレーを食べる鑑定部隊が増え、「金曜日はカレーの日」が定着したそうです。この慣習がマスメディア等に広く紹介された結果、「よこすか海軍カレー」を皮切りに、「呉海自カレー」、「大湊海自カレー」など、海上自衛隊カレーを活用した企画が各地で登場しています(参考[4])。

カレーは、栄養バランスも良く、兵食に最適

(参考)
[1] 全国学校給食週間について(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/syokuiku/1299359.htm
[2] カレーとは?(全日本カレー工業協同組合)
http://www.curry.or.jp/whats/index.html
[3] 今年も盛大に「カレー記念日」(日本食糧新聞電子版)
https://news.nissyoku.co.jp/restaurant/grs-253-0034
[4] 海上自衛隊 カレーの秘密|海上自衛隊レシピ(海上自衛隊)
https://www.mod.go.jp/msdf/kanmeshi/tip2.html

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圓岡太治
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