冬の北海道にはほかにはない魅力がある。一面の銀世界、この時期ならではの海の幸、流氷などの大自然、そして雪まつりなどの各種イベント。ゲレンデだって世界がうらやむふわふわのパウダースノウだ。けれど人が集まる観光地をすこしずら…
画像ギャラリー冬の北海道にはほかにはない魅力がある。一面の銀世界、この時期ならではの海の幸、流氷などの大自然、そして雪まつりなどの各種イベント。ゲレンデだって世界がうらやむふわふわのパウダースノウだ。けれど人が集まる観光地をすこしずらすと、まだあまり知られていない魅力的な集落に出合える。そこで札幌や旭川、小樽などからもアクセスがよく、ずらし旅にうってつけの小さな町をご紹介。
【厚岸(あっけし)】
釧路のより東へ 牡蠣とウイスキーが織りなす美食の町
東北海道を代表する都市、釧路の先にあるのが厚岸だ。あっけしと読むのは難しいが、これはアイヌ語で牡蠣のあるところを意味する「アッケケシ」が由来。北海道が蝦夷地と呼ばれた時代から、「蝦夷の三絶(三大絶品)」として牡蠣は珍重されてきたそう。かきえもん、弁天かきといった生まれも育ちもこの地の品種は、日本で唯一、年間を通じて生で食べられる。なかでも厳しい冬を迎えるこの時期は、うまみ成分が蓄積され、身もふっくらぷりぷり。
もう一つの名物はウイスキー。湿原の中にある厚岸蒸溜所でつくられたウイスキーは、磯の香りの霧に包まれ、英国アイラ島のシングルモルトのような風味に仕上がるという。生産数が限られているため、国内でも入手困難なウイスキーで、それを求めて多くのファンが全国、いや世界各地から集まる。そして生牡蠣にこのウイスキーを数滴たらして食べるのが厚岸流。市内のレストランやバーでは牡蠣とウイスキーのコンビネーションを味わえる。
気軽に試すなら、駅からすぐの厚岸味覚ターミナル・コンキリエのバーがおすすめ。北海道道の駅ランキング飲食部で常に1位というスポットだけに、鮮度がよくメニューのバリエーションも豊富。高台に建つ建物の2階にあるレストランやバーは町を見渡せ、気分も上がるだろう。厚岸漁業協同組合直売店 エーウロコにはイートインコーナーがあり、新鮮な牡蠣を購入し、その場で食べることができる。レンジで蒸し牡蠣にするのもよし。港直送の新鮮な牡蠣のいろいろな品種を食べ比べてみよう。江戸の時代から海運の要所だっただけに、牡蠣以外にもさまざまな海産物に恵まれたこの土地。割烹やレストランを兼ねた宿も多いから、食べる旅を企画してみるのもいい。
【北見(きたみ)】
世界の7割以上の生産を担ってきたハッカとカーリングの町
網走やサロマ湖まで流氷を見に行くのなら、北見まで足を延ばしてみるのもいい。網走駅から特急で3駅50分、普通列車で9駅1時間10分の北見駅はハッカとカーリングの町。稲作には適さない土地だったが、良質なハッカの栽培には適した広大な土地だったため、戦前には世界のおよそ70%を占めるほどの生産量を誇っていたという。当時のハッカ工場(旧ホクレン北見薄荷工場)の事務所を改修した北見ハッカ記念館とそのとなりの薄荷蒸溜館を訪れると、当時の雰囲気がしのばれる。
薄荷蒸溜館では日に2回蒸溜実演を行われ、館内には爽やかな香りで包まれる。自分好みの香りに整えるハンドクリームづくりなど、気軽に参加できる体験イベントも。オリンピックで銀メダルを獲得したロコ・ソラーレが拠点とするカーリングの町でもあり、ストーン型のミントケースなどの限定コラボ商品も販売。ちなみに駅前のポストもカーリングをモチーフにしたデザインだ。
そして実は北見は焼肉の町でもある。北見駅のすぐ裏手に屠畜場があり、新鮮なホルモンを仕入れたことから焼肉文化が根付いたと言われている。現在では約12万人の人口に対して80軒以上の焼肉店があると言われ、名店が密集している。
北海道は札幌や函館だけじゃない! ゲレンデ帰りに魅力的な小さな町を訪れてみると、今までに出合えなかった北の大地の魅力を知れるだろう。北海道ずらし旅、ぜひともこの冬、お試しあれ!
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