至極の一杯をもとめて、約1ヶ月。進化し続けるラーメンに驚く傍ら、長く愛される変わらぬ味にほっこり。『おとなの週末2023年2月号』で新旧ラーメンの記事を担当した編集・戎、新店の担当ライター・松井、ご当地ラーメン担当の編集…
画像ギャラリー至極の一杯をもとめて、約1ヶ月。進化し続けるラーメンに驚く傍ら、長く愛される変わらぬ味にほっこり。『おとなの週末2023年2月号』で新旧ラーメンの記事を担当した編集・戎、新店の担当ライター・松井、ご当地ラーメン担当の編集・武内、それらを横断的に担当したライター・肥田木、それぞれが感じたラーメンの魅力を語ります。
進化する新店の今と 愛される老舗の魅力は
肥「実は私、新店の取材は2年ぶり。今回はちょっとの担当だったけど、業界の熟成度というか進化がすごいことになってるんだね。しばらく会わない親戚の子が大人のいいオトコになってて面食らった、みたいな(麺だけに♪)」
武「ふむ。確かに年々変化が激しい業界ですよね。そんなイマドキのイケメン、いやイケ麺はどんな感じになってましたか?」
戎「この2、3年で特徴的なのはまさに“麺”の個性ですかね。特に自家製麺。長い間、スープへのこだわりが強い店が多かったでしょ。貝や牛骨など使用する素材の意外性で個性を出したり。今はそんな自分のスープに合う麺を作るため製麺機を構え、小麦粉からこだわる…つけ麺でなく通常のラーメンにうどんっぽい太麺が使われるようになり、手揉みで縮れを加えるタイプも増えました」
肥「そうそう『ひなり竜王』も、うどんのような自家製太麺だったよ。これがまたつるつるモチモチで旨かった」
松「インパクトのある極太麺は最近の流行りですね。『蓮』はそんな手打ちの極太麺にやさしい味わいのスープを合わせる意外性が面白かった。冬菇ベースのスープも個性が感じられました」
肥「お、待ってました、ラーメン取材の師匠。あなたナシでは語れんのよ、で、最近の傾向は?」
松「うーん(笑)、ひと昔前は醤油をキレッキレに効かせた鶏清湯がトレンドだったけど、今は鶏の旨みをより強く押し出してる店が多いかな。清湯ブームは今も続いていて、以前より味は骨太。今回も鶏清湯が多かったけど、どこも重厚で満足度が高かった!」
一同「な~る、メモメモ」
松「で、トッピングでワンタンを扱う店がグッと増えました。チャーシューのレベルも確実に上がってますよ。ブランド食材を使ったり、意識の高さがうかがえます」
武「そうなると改めてラーメンって何だろう?と思っちゃうんですよね。ダシは豚、鶏、牛、煮干しなど多岐にわたり、麺も平打ち、太麺、縮れ、ストレートなど、やはり多彩。具やタレもとにかく選択肢が多く、じゃあどうなっていればラーメンなんだ?と」
戎「特に新店はどんどん洗練されてますもんね。フレンチなどで修業した店主が始めた『ブレイクビーツ』なんて、もはや完成度の高い“料理”のよう」
松「私が今回心に残ったのは『人と羊』。ラム肉のチャーシューやパテに施したスパイス使いも絶妙で、上質な羊料理を食べたような満足感が得られますよ。肉増し仕様2600円と高額だけど、せっかくならぜひこちらを!」
肥「2600円?肉まんが20個ぐらい買えるじゃん!」
戎「肉まん……(笑)。でもそれだけの価値があるんですよ。スタイルの面白さで言えば、奄美大島の郷土料理・鶏飯から着想を得たという『ルリカケス』」
松「今回の紹介店はどこもオリジナリティがありましたよね。手羽先だけで旨みを抽出する塩味の『ご恩』や、生卵に浸けてすき焼き風に味変できる味噌味の『からす味』とかも」
肥「うーん、ラーメン1杯か、肉まん20個か……」
戎「まだ言ってる(笑)。確かに最近はデフォルトで1000円を超える店も多いけど、これだけ素材にこだわればそりゃそうなるよな、何なら安いと思うほどです。でもきっと『新店は高い』と思う人も多いはず。そこで旧の店!」
松「わかる!デフォで1000円超えることはない安心価格」
戎「いい意味で複雑味がなく、どこかやさしくてホッとします」
肥「老舗は味がどうこうっていう評価を超越した魅力があるんだよ。高級食材を使うわけでも最先端のスープでもないけど、妙に食べたくなる。『来集軒』もそう。佇まいもシブくて、店の隅っこで五郎さんと純と蛍がラーメンすすっていても違和感ない(笑)」
戎「上野ガード下にある『珍々軒』も、店前にテーブル席を出してるシチュエーション含めていい。寒空でハフハフやりながら食べるとおいしいんだよなあ」
武「ご当地の味も幅広くて、面白かったですよ。さっきのラーメンって何だろう、の話じゃないけど、これほどバラエティに富んだ味が全国に揃うジャンルって珍しい。今回感じたのが南の県の方が味も濃く、北ほどあっさりしてること(北海道の味噌など例外もありますが)。
九州の濃厚な豚骨味が、中国・四国、関西で醤油の効いた醤油豚骨になっていき、関東では豚骨ながらも白濁させず、青森に至ってはほぼ煮干し。その土地で採れる素材を有効利用した結果とも思うのですが、この点を見てもラーメンってフリーダム。まるで肥田木さんの恋愛のようです」
肥「80歳のおじいちゃんも恋愛対象だからね。って何の話や」
武「選択肢が自由だからこそ飽きずに食べられ続ける。で、郷土の味と結びつきやすく、国民食になっていったのではと思うわけです。そんなことを思いながら食べていると今度は自分の好みがわかり始める。個人的に煮干しや節系より動物系。麺は中細ストレート」
戎「今回では、どこの店?」
武「関西の『新福菜館』や『まる岡』が好きだな」
肥「前者は京都ブラックとも呼ばれる黒いスープだけど、味はあっさりだったよね。ギャップがあるほど惹かれるのは人間も同じ」
武「あ、ラーメン売り出したら?麺は極太(神経と同じ)、ネギは山盛り(バカ盛り)、その名も肥田木ブラック(訳:ヒダキ腹黒)」
肥「やーん、大行列できちゃうかもぉ♪(←知らぬが仏)」
松「それもラーメン、これもラーメンってことで。懐が深いですね」
戎「ですです。『今の新店は高い』と感じる人もこだわり抜いた最新の味を一度は試してみてほしいし、逆に『昔ながらの店って味が物足りないんじゃない?』と思ってる人も長く愛される一杯を店の雰囲気ごと味わってほしい。その意味や理由がきっとわかるはず。ぜひこの特集でラーメンの奥深さ&幅広さを楽しんでください!」
撮影/小島 昇、文/肥田木奈々
※2023年2月号発売時点の情報です。
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