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おいしい西京漬は錦市場のすぐそばに

全国に馴染のある西京漬。その名前からもわかるように京都が本場です。明治の東京遷都によって京都は“西の京”、西京とよばれるように。京都の味噌漬、だから西京の味噌漬で、西京漬というわけですね。

さて、そこで極上の西京漬を求め伺ったのは錦市場のすぐ近く、西京漬の専門店として店を構える『京都一の傳 本店』です。

錦市場通りから柳馬場通を上がってすぐ。黒壁に「一」の文字が見えたらそこが「京都一の傳 本店」だ

西京漬は海から遠く離れた京都で魚をおいしく食べるため、冷蔵庫のない時代に保存性を高めるため味噌に漬け込んだと言われ、現在は素材の旨みを引き出すために漬け込む意味合いが強くなっている、いわば京都の歴史と風土が育んだ味わいです。1927(昭和2)年創業の『京都一の傳 本店』は、日本で最初の中央市場である京都中央卸売市場とともに誕生しました。仲卸や加工など水産物を幅広く扱う経験を活かし、西京漬に適した脂乗りのいい魚を厳選し、「漬け」の技術を磨いてきたのです。

白味噌のまろやかな味わいが身の中にまでしっかりと漬かった脂乗りのいい銀だら。魚自身の脂で飴色に焼かれ、とろけるような口当たり

店頭には一切れずつ個装された切り身の西京漬がずらり。

「当店が扱う西京漬の味噌床は、白味噌のほか伏見の本格純米酒や赤穂の塩、木樽仕込みの熟成醤油など、伝統的な製法でつくられた調味料だけを加えた特製です。この味噌床に切り身を二昼夜以上漬けて、味わいを最大限に引き出したものを〈蔵みそ漬〉という名で店頭にお出ししています」と店長の川合剛史さん。

魚の種類や気候によって漬け込み時間が細かく調整され、「本漬け」と呼ばれる製法で魚の中までしっかりと味を染みこませた、これぞ西京漬。

丁寧に切り分けられた切り身を二昼夜以上漬け込む〈蔵みそ漬〉。味噌床は伝統的な製法で造られた調味料のみを加え、保存料等は一切使用しない

ちょうどいい漬け具合で店頭に並んでいますが、慣れたお客様はさらに1日~2日ご自宅でお好みの漬け具合に調整するそう。一切れ500円程度からというお手頃な価格に、銀だら、さわら、金目鯛など定番に加えて期間限定の魚も入れ替わり登場し、多様なラインナップも地元の人に支持される理由のようです。

銀だらは通年で人気の定番。近年は骨を取り除いた「骨取り切り身」や、焼いた切り身を個装したレンジで温めるだけの〈焼きシリーズ〉も人気だとか
冷蔵ケースには一切れ(520円〜・税込)から切り身が並ぶ。銀だらを筆頭に金目鯛やかれい、キングサーモン、さけなどが定番だそう

こちらの本店は2階に食事処があり、プロが焼いた西京焼も味わえます。月替わりの〈おもてなし料理〉(3950円・税込)は〈蔵みそ焼〉をメインにした京懐石。華やかな季節の前菜盛り、椀物、蒸し物に続き、遠火でじっくり焼いた蔵みそ漬と土鍋で炊きたてが運ばれる丹波産こしひかりのご飯。非日常の空間で過ごすゆったりした時間と食事の満足感で、帰りがけに覗く1階の売店でも思わず財布のひもが緩くなります。

〈蔵みそ焼〉の焼きたてを味わえる月替わりのコース(3950円・税込)。一文字の皿には季節の前菜盛り合わせ。黒豆の真丈やふぐたたきとセリの白和えなど京都らしい料理が並ぶ ※写真は1月のお料理
京町屋の風情が漂う2階の食事処は午後4時(L.O.午後2時半)までの営業。テーブル席や座敷のほか個室もあり、ゆったりとくつろぐ贅沢なひと時が過ごせる
「味噌が焦げて焼くのが難しいと思ってる方もいらっしゃいますが、自宅で上手に焼くご提案もしているのでぜひお声がけください」と川合さん

京都の食文化に広く根付いた白味噌の味わい。そのほんの一部との出合いでしたが、京都流はやっぱりおいしい!

一文字屋和輔

住所/京都府京都市北区紫野今宮町69 
電話/075-492-6852
営業時間/10:00~17:00
定休日/水曜(祝日の場合は営業、翌木曜休)、1日、15日

京都一の傳 本店

住所/京都市中京区柳馬場通り錦上る十文字町435番地
電話/075-254-4070(お食事専用ダイヤル)
営業時間/お買い物10:00~18:00、お食事11:00~16:00(14:30L.O.)
定休日/水曜、祝日の場合は営業、翌木曜休

編集/エディトリアルストア
取材・執筆/成田孝男、渡辺美帆
写真/児玉晴希

※情報は令和5年2月27日現在のものです。

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おとなの週末Web編集部
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