熱々カレーの“愛し方”とは 火傷の数だけ虜になる!?『おとなの週末』取材班座談会

『RスリランカTOKYO』豚肩ロースステーキカレー 1300円 厚みのある肉は丁寧な筋切りで柔らか。旨みがカレーに移ってさらに旨し

2023年3月号の『おとなの週末』は、冬こそ食べたい熱々カレー特集。焼きカレー&その他のカレー料理担当のライター肥田木、スープカレー(東京)の池田、カレー南蛮の菜々山(札幌スープカレーも担当)、そして編集の武内と戎も参戦…

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2023年3月号の『おとなの週末』は、冬こそ食べたい熱々カレー特集。焼きカレー&その他のカレー料理担当のライター肥田木、スープカレー(東京)の池田、カレー南蛮の菜々山(札幌スープカレーも担当)、そして編集の武内と戎も参戦して、各担当の魅力をホットに語り合います!

冬にこそ食べたいカレーの魅力とは

肥「連日カレーを食べ続けたせいか、体や鞄からほのか~にスパイシーな匂いがしてる気がするんだけど(笑)」

池「確かに皆が集まるとそんな香りが漂ってる気も……」

武「だって僕だけでも30食は食べましたもん。さすがに飽きるだろと思ったのですが、毎回『旨い!』と食べられるんですよね。ま、『秘密戦隊ゴレンジャー』のキレンジャーに負けないほどカレー好きなので、さもありなんです」

肥「そういえばリサーチの時も好んで黄色い服を着てたよね。こっちはヒーローじゃなくてただの食いしん坊オジサンだけど(笑)。にしてもカレーという料理の自由度ってすごいよね。食材もスタイル店の個性をビシバシ出せるし、ジャンルも王道の欧風から人気のスパイスカレー、今回注目した焼きカレーや鍋、煮込み、スープ、蕎麦、うどん。他にもお菓子にパンに餃子だってあるし。おまけにおふくろの味といえば……の定番。ポテンシャル高過ぎ」

菜「いつもは夏の時期に特集することが多いけど?」

武「夏もいいけど、寒い日こそおいしいカレーがあるのではないか!ということで今回の特集がスタートしました。テーマはハフハフ熱々の旨さ。氷点下の札幌までスープカレーの調査に行きました!」

菜「そう、東京にも店あるじゃんと思ってたけど、本場は全然違ったよね。どこも野菜たっぷりでおいしかった。北海道は海産物を目当てに行くイメージだけど、冬の時期は地元のウニやイクラも旬ではないし、スープカレーを目指して旅するのもアリ!」

武「僕も東京で食べるより旨いのではと思いました。店の人にそう話すと、水と野菜そのものがおいしいからじゃないかとのこと。確かに野菜でいうと、にんじんは甘く、ごぼうは太く味が濃く、ピーマンもちゃんと苦くて本来の味がする。で、素材を引き出すように煮る、蒸す、焼くと調理法を変えているものだからおいしくない訳がない!」

肥「二重否定で強調してるね(笑)。それほど感動したんだ。私も行けば良かったあ」

武「だってアナタ、寒いのヤダヤダヤダヤダって四重で強調して拒否したじゃん」

菜「あ、それと味も多彩でチョイスが楽しかったよ。ほぼダシのあっさり系もあれば、コッテリ系もあったり」

武「ダシに鶏、豚、両方のブレンド、あるいはスープに味噌を使ったりする店もありました。それってラーメンの多様化に似てますよね。ラーメンが一世風靡した理由に味の多様化があると思うのですが、スープカレーも味の幅がさらに広がっていけば、食べ歩きやマイベストを探す楽しみがどんどん増える。これ、東京でさらに人気になるのでは」

戎「ちょっと待ったあ!東京のスープカレーも多彩な旨さで既に人気なんですから!とはいえ今回はそっちのページがあったんで”札幌”を打ち出している店を極力選ばないよう意識しましたけど」

池「いやホント、それぞれ個性があって食べ比べると面白かったよな。どこに違いがあるかっていうとやっぱりスープ。仕立てに個性が出てた。鶏ガラや白パイ湯タンを使ったり、豚骨、牛骨、香味野菜。そこにトマトの旨みや酸味を加えてたり、加えてなかったり。当然、プラスでスパイス使いの違いもあって、パンチ系、爽やか系、じんわり染みる系など。コレもしかして本場より進化してるんじゃないか?」

戎「一番の衝撃は『RスリランカTOKYO』でした。ココナッツミルクベースのスープの個性と豚肩ロースステーキなどトッピングのおいしさにビックリ。しかも陶板プレートなので熱々が持続。おかげで猫舌の僕は口の中が大変でしたけど(笑)」

『RスリランカTOKYO』豚肩ロースステーキカレー 1300円 厚みのある肉は丁寧な筋切りで柔らか。旨みがカレーに移ってさらに旨し

池「トッピングの楽しさでいえば『エルビス』の角煮なども然り。スープカレーは具を選んで自分好みに仕立てる余地が大きいのも楽しいな。野菜の彩りも素敵だし、やっぱ映える。おにぎりと合わせるのも良かったぞ」

戎「野菜たっぷりなので、ボリュームがあっても罪悪感が少ないんですよね。スパイスが効いていて発汗作用もある。結果、体にいい!」

肥「でもさ、私はやっぱり濃厚なルウにたっぷりチーズの焼きカレーの罪な旨さに惹かれるんだなあ。子供も大人もおじいちゃんもおばあちゃんも絶対好きなヤツ。何か郷愁を誘うのがいいのよ」

武「香ばしいチーズで蓋をされ、オーブンで焼かれているから、食べ終わるまでずっと温かい。チーズのコクとほどよい塩味、さらに少し固まってきてクニャリとなった歯応えも具材のひとつに変化して……いやあ、旨かった」

肥「オーブンの高温で焼くと蒸し焼き効果もあるから、ルウや具の旨みがぎゅっと凝縮されるんだよね。それって焼きカレーならではの醍醐味。王道なら『3丁目のカレー屋さん』と『ストーン』が間違いない。懐かしさを感じるおいしさなんだけど、それぞれ仕込みから提供まで緻密に計算されたプロの味でさ。自分じゃ作れない」

菜「奈々ちゃんは茹で卵しか作らない人だからね(笑)」

武「同感。あ、濃厚な欧風が多い焼きカレーの中では『ベンガル』のさらりとした味も印象に残りました」

肥「焼き以外では『カリー座』 のカシミール鍋や『やるき』のおでんも面白かったね。ビールやワインなどお酒と一緒に楽しめる仕立てになってて、飲んべえにもうれしい。カレー味ってお酒全般に合うのよぉ」

武「クツクツ煮える鍋が熱々の旨さなのはいうまでもナッシング。夏に汗をかきかきもいいけれど、ハフハフしながら食べるならやっぱり冬がいいと改めて思いました。で、店を出ると、スパイスの刺激、料理の熱さからまだポカポカしてる訳です。で、で、『おいしかったね♪』『また来たいね』と話すふたりの口から出る真っ白な息。おお、想像するとロマンティックが止まらないじゃないですか!」

肥「誰かヤツのそれを止めて(CーCーB覚えてる?ミポリン可愛かった)……とにかく。多彩な味に改めてカレーの懐の深さを感じたよ」

戎「カレー南蛮も王道から創作風まで多彩な店を紹介することができました。僕は『小川家』が印象深い。蕎麦屋だから当然ツユがおいしく、独自ブレンドのカレー粉のスパイシーさと相まって飲み干したくなるんです」

菜「私が気に入ったのは『東嶋屋』。昭和世代には懐かしの黄色いカレーで、ダシとカレー粉が香るシンプルな味がクセになる。毎日でも食べられそう。それとはまた違う魅力を感じたのが『なかむら庵』。濃厚でクリーミー、かなり洋風寄りなんだけど、ちゃんと蕎麦やダシの風味もあってカレー南蛮としての完成度が高かった」

戎「町蕎麦屋のカレー南蛮はダシが効いてホッとします。日本の心ですよ、ダシは。なかなか温泉に行けないから、日本の心を感じるカレーに身も心もどっぷり浸かりたい。あぁダシで癒やされたい」

池「おーい、何か辛いことあったんかい?(笑)」

菜「パンチの効いた味なら『ハイ ハウ アー ユー』のカレーうどんを食べてみてほしいな。強烈なスパイス感。最初は脳が混乱するくらい複雑な味わいなんだけど、翌日はまた食べたくなっている自分がいた(笑)。中毒性がある味ってこういうこと」

『ハイ ハウ アー ユー』カレーうどん 1100円(モッツァレラチーズのトッピング+100円) 最初にカレーに忍ばせたバナナの甘みが広がり、続いて刺激的な辛さがやってくる。クローブとカツオ節の香りが驚きの好相性。チーズトッピングがおすすめ。ライス付き

池「郷愁の味あり、癒しの味あり、活力となるヘルシー味あり、中毒性のある味あり。今回の特集は心と体を元気にしてくれる味が揃ったな」

肥「何といっても熱々のカレーは体が温まるし、運ばれてきた時や蓋を開けた時の湯気にほっこりする。あ、この湯気がちょっとした美顔器的スチーム効果になるのさ」

菜「あはは、そういえば最近肌の調子いいかも(笑)」

肥「執拗に顔を近づけて食べてたから、帰りはマスクの中がカレー臭だったけどね」

武「ふむ、乾いた砂漠に潤いを与えたってことか……あ、いや。おふたりの美貌に磨きがかかって良かったです。という訳で。冬ならではのハフハフ旨い”ハフ旨カレー”をおと週的冬の定番にしたいと思います。それいいねと思ったメーカーの方、商品化の際にはお声がけください!」

文/肥田木奈々

※2023年3月号発売時点の情報です。

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