大きなグラスで赤ワインをグルグル。かつて、そんな時代もありました。いまやワインはもっと軽やかに、自由に楽しむのが気分。肩の力をぬいていまどきワインを楽しんでみませんか。本稿では、ワインともっと楽しく付き合うための術をワイ…
画像ギャラリー大きなグラスで赤ワインをグルグル。かつて、そんな時代もありました。いまやワインはもっと軽やかに、自由に楽しむのが気分。肩の力をぬいていまどきワインを楽しんでみませんか。本稿では、ワインともっと楽しく付き合うための術をワインのプロ、iwai-wines代表・岩井穂純さんに教えていただきました。
【iwai-wines代表・岩井穂純さん】
高級レストランのソムリエなどを経てワインショップ『酒美土場』店主に。2021年から長野に移住し、ワイナリーのオープン準備をする傍ら東京でワイン講師としても活躍
Q.そもそもナチュラルワインって?
A.ナチュラルワインはオーガニックワインと混同されることがありすますが、オーガニックというのはあくまでブドウの栽培方法のこと。つまり、ナチュラルワインの前提にあるもの。栽培から醸造に至るまで人為的操作をできる限り避け、環境を尊重して造られるのがナチュラルワインでしょうか。
厳密に定義すると難しいですが、一般的には有機的な農法で栽培したブドウを使い、野生酵母で発酵させ、保存料(亜硫酸塩)の使用量が低いワインを指すことが多いですね。酵母が生きているため発酵由来の味わいもあって、ダシっぽいといわれるのはそれが理由かもしれません。
Q.オレンジワインってどんなワイン?
A.オレンジワインは、白ワイン用ブドウの果汁と果皮、種を一緒に漬け込んで発酵させて生まれるワインです。オレンジ色をしているのでオレンジワインと言われるようになりました。造り手によってはロゼと似た色をしたワインもあるので、ややこしいですね(笑)。
ロゼとの違いは使われているブドウの違いで、ロゼは黒ブドウを使用。オレンジワインには柑橘を思わせるフレーバーがあり、カテキン由来の渋みがあります。それが幅広い料理に合う理由ですね。
Q.日本ワインの魅力を教えて!
A.日本ワインは、北は北海道から南は九州まで造り手が増えています。ワイン好きが高じて造り手になる人も多く、そういう方のワインは目指すワインが明確なので、総じて品質が高いですね。ワインに詳しくない人でも産地がイメージしやすいし、親しみを感じやすい。産地を訪ねて畑を眺めたり、生産者と直接話せるのも魅力だと思います。
Q.ペティアンやペットナットって何?
A.ペティアンはフランス語で微発泡という意味で、ガス圧の低い発泡性ワインのことを言います。勘違いしている人もいらっしゃいますが、ペティアン=ナチュラルワインではありません。
ナチュラルワインの世界では自然な造りのペティアンのことを“ペティアン・ナチュール”や、その略称“ペット・ナット”と呼びます。ロゼペティアンなどもあり、タイプもさまざま。最近では日本ワインからも多数リリースされるようになりました。軽快な飲み心地で、春には最高ですよ。
Q.意外な組み合わせを楽しめる店が増えてるってホント?
A.ちょっと前はワインならフレンチやイタリアンが定番だったけど、今はいろんなお店が増えています。中華とワインはもちろん、おばんざいやおでんにワインも普通になってきた。
最近、ワインのセレクトで関わらせてもらったのが“かき氷とナチュラルワイン”。なかなか攻めたコンセプトでしたが、楽しかったですね。ワインだから洋食というような決めつけは脇に置いておいて、和食とワイン、カレーとワイン、和菓子とワインなど、自由に楽しんじゃえばいいんです。
Q.家飲み・外飲みでワインを楽しむなら?
A.毎日ワインを飲みたいという方にはバッグインボックス(通称BiB)、いわゆる箱ワインをおすすめします。今はおいしいBiBがたくさん出てますからね。亜硫酸塩無添加というスペインのBiBもありますし、容量が3Lというのも魅力です。
空気が入らない仕組みなので、ボトルで飲むよりも酸化しません。毎日チビチビ飲んでも問題なし。家飲みはもちろん、人が集まるホームパーティやキャンプに持って行ったら、おぉ~って盛り上がりますよ!
Q.ペアリングにこだわる必要はない?
A.ワインと料理を合わせるというペアリングは、それほど気にする必要はないと思います。レストランのソムリエ時代に、日々メニューとワインのペアリングを考えていましたが、その日の天候、飲む人の体調や気分で、どんどん変わることに気が付いて。プロのソムリエでさえそうなんです。
だから料理と合うかは一旦置いといて、食べたい料理、飲みたいワインを選べばいい。合う料理とワインは身体が教えてくれるから……。それがその人にとってのペアリング。合ったらラッキーぐらいに思って(笑)。合わなかったら逆にそれを楽しんじゃえばいいんですよ。
撮影/貝塚隆、取材/岡本ジュン
※2023年3月号発売時点の情報です。
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