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イケイケゴーゴーでいざ出陣! 作戦はきれいに食べる

決めていたことがある。決してかき込まずきれいに食べるべしだ。

そのための作戦として、丼内の納豆ご飯をまずは6等分する。それを下から救って口に運ぶ。数度咀嚼する。さすれば何度も箸で運ぶことなく6度の往復ですむ。

まあ少しご飯が多い気もするが、納豆はさして噛まなくてもいいし、納豆の粘りがご飯に絡みつき、潤滑油的に作用して、ツルリと喉をすぎていくはず。ひと塊に10秒かけても60秒。予選突破には少し急げば十分だ。

なのに、なぜ、みなさんはかき込むんだい? 

スタートして約0.8秒で上記を再確認し、いざ!

ガツガツかき込まないように、綺麗に食べることを心がけてみたのだが……
ガツガツかき込まないように、綺麗に食べることを心がけてみたのだが……

納豆ご飯を6等分し、さっそく最初のひと塊を口に運ぶ。

……あれ……これ……ん?……想定外の事実発覚!

だるま納豆もご飯も少し硬めなのだ。これじゃ、ある程度咀嚼しないと飲み込めないじゃないか! しかも納豆とご飯を一緒に口に運んでいるつもりが、納豆多め&ご飯少なめになっていて、丼に想像以上にご飯が残っている!

すくう&噛む噛む噛む噛むごくり飲み込むを6度の予定が、すくう&噛む噛む噛む噛む噛む噛む、ふぅ少しだけ休む&噛む噛むごくり飲み込む。ぬおぉ、予想外に時間がかかっているではないか! と、歓声があがると同時に「おっとぉ、ひとり食べ終わりました! 早い!」の声。

マジか⁉︎ そして1分経過ですのアナウンス。マジなのか⁉︎ 私の丼の中にはまだ3分の1程度残っているのに。このままでは予選敗退だ。あぁぁかき込みたい。でも、綺麗に食べられない。水で流し込みたい。でも水を取る、戻す作業で時間のロスになる! 焦るばかりでご飯が減らない。 

それでも噛む回数を少なくし、無理してごくっと飲み込み、残りを胃に収めていく。

果たして……最後のひと塊を口に放り込み、丼の中を確認する。ご飯なし、納豆なし。よしっ! バッと手をあげる。振り返れば、背後でタイムを計ってくれていた「水戸梅の大使」の女性もにっこりと笑顔だ。

なんとか食べ切ったものの……
なんとか食べ切ったものの……

思えばウルトラマンだって仮面ライダーだって、ヒーローたちは最初負けていても、最後に盛り返して勝利を収めるのがセオリーである。手に汗握らせるような見せ場を作るってやつですな。ふふふ。しかし、徹夜で作業をして水戸に来ることで疲労困憊気味ではあるが、私はヒーローなんかじゃないんです……。ただのおじさんなんです

あぁ、それにしても陽光に煌めく千波湖が眩しいなあ。

1分43秒56……予選で綺麗に散ってしまいました

男子予選の後、女子決勝が。そしてその後で男子決勝が行われました。

女子決勝の様子
女子決勝の様子
男子決勝の様子
男子決勝の様子

結局、この同じ組で1位だった方が、決勝では藁で包まれた納豆5パックを、30秒を切る速さできれいに食べ切り優勝したのでした。おめでとうございます。

男子・女子、それぞれ上位3位までの猛者たち!
男子・女子、それぞれ上位3位までの猛者たち!

さて、反省点はいくつもある。

最初に納豆とご飯を軽くかき混ぜて、全体に粘りをつけることでのど越しをよくする。

綺麗に“かき込む”。

途中で水分を取り、口の中を湿らせる。

何より、事前に何度も練習をする!(牛乳の早飲みなんてなんの参考にもならなかった)

そりゃあ、ノー練習じゃだめだよね。

しかしである。予選で負けてしまったとはいえ、私の健闘は先のWBCで予選敗退となってしまったものの、その戦いぶりで大会を沸かせたチェコ代表みたいなもの……とは全然違うな。

とはいえ、総人口80億近い全人類の中で、私は世界ランク40位くらいの実力を持つ、世界ランカーなのだ。大いに胸を張って帰京することにした。

あぁぁ、悔しい。来年も出る。絶対に出てやるっ!

撮影/谷内啓樹 取材・文/武内慎司(編集部)

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編集部 武内
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