ドライからスイートまで、品種違いで飲み比べ
マデイラというと、勝手に赤ワイン品種を使っていて、少し重めで甘口なのかな(チョコレートフレーバーとか)なんてイメージがどこかにあったんだけど全然違う(それは思い込みだ)。
確かにティンタ・ネグラという黒ブドウ品種があって、マデイラに使われる栽培品種としては一番多いのだけど、それ以外に4種類ほど昔から使われてきた白ブドウ品種がある。で、それぞれのブドウに持ち味があるのだ。
そしてバーベイトはというと、1946年設立のワインメーカーで、「少量でも品質の高いマデイラワイン造り」を理念としている。聞けば、同社の特徴はシャープな酸味でもあるとか。
試飲に話を戻そう。最初に飲んだセルシアル、これはブドウ品種の名前。そしてブースには同じく10年で、ヴェルデーリョ、ブアル、マルヴァジアといずれも白品種の品種違いのマデイラが並び、飲み比べることができた。
それぞれの品種の特徴を生かしながら、順にセルシアル・辛口、ヴェルデーリョ・中辛口、ブアル・中甘口、マルヴァジア・甘口。ハーブやスパイス、ハチミツの香り。少しずつリッチに甘さを増すのだけど、共通しているのはきれいな酸が保たれていること。だからべったりするようなことはない。ていうか、エレガント! いいもの知ってしまったじゃん。
ちなみにマデイラワインは、実はすでに酸化熟成されたワインなので、一度抜栓しても味わいが変化せず、安心して飲めるという利点もある。それは独自の製法によるところでもあるのだが、そのあたりの話はまた次回。
ともかく、想像を超えて繊細でエレガント。それでいて気軽に抜栓して一度に飲み切らずとも楽しめる。ぜひ1本、まずは試してみていただきたい。
取材・撮影/池田一郎