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「受験は競争、受験生もアスリート」。トレーナー的な観点から、理にかなった自学自習で結果を出す「独学力」を、エピソードを交えながら手ほどきします。名付けて「トレーニング受験理論」。その算数・数学編です。第22回は、受験シーズンを前に、「逆転合格」の可能性を考えます。

中学受験で偏差値10差をひっくり返す

2020年、3年前のことですが、中学入試で逆転合格を果たした生徒がいました。偏差値が70近い難関校を志望していましたが、模試結果では偏差値が10以上足りず、不合格の判定でした。ところが、入試直前の1カ月間猛勉強をして、見事合格を勝ち取ったのです。

大学入試の話ですが、東京大学理科III類(いわゆる「理III」)に逆転合格を果たしたケースもあります。理IIIと言えば、東大の中の東大と言われる超難関で、合格者は全国模試でも成績優秀者ランキングに名前が載る生徒たちがほとんどです。ところが、模試のランキングで一度も名前を見ることがなかったのに、現役で理IIIに合格した同級生がいたのです。理IIIに逆転合格は起きないと思っていましたが、その固定観念が覆される出来事でした。

このような逆転合格はどのようにして起こるのでしょうか?

よく耳にするパターンは、部活動などでそれまで十分な勉強をしていなかった生徒が本腰を入れて猛勉強をし、合格するというケースです。

しかし、これは勉強に専念できなかった状況、地頭(じあたま)の良さ、驚異的な頑張りなどの特殊条件がそろっての結果であり、一般の生徒に広く参考になる再現性の高い例ではありません。勉強に真面目に取り組んでいるのに成績がなかなか上がらず、志望校の合格ラインに届かない、そのような生徒でも逆転合格の芽はあるのでしょうか。

逆転劇は起こりうる

「過去問対策の重要性」逆転合格は可能だ

偏差値10以上のビハインドを覆す逆転合格など信じられないと思う方も多いことでしょう。しかし、もし事前にある程度出題される範囲が分かっていたとしたらどうでしょうか。その範囲だけ徹底的に勉強して出来るようにすれば、合格の可能性はぐっと高まることでしょう。もちろんこれは仮定の話ですが、そのような圧倒的優位は無理でも、ほかの受験生よりある程度有利な状況に持っていくことは可能です。そのための方法は、「徹底的に過去問対策をする」ことです。

過去問演習の目的

過去問演習をするのは受験生なら常識です。しかし、逆転合格を目指して徹底的に行っている人はそれほど多くはありません。なぜなら、時間と労力に限りがあるからです。国語・算数・理科・社会の4科目の過去問を解くだけでも時間を取ります。

解いただけでは意味がないので、その復習をしなければなりません。逆転合格を目指すような偏差値に隔たりのある学校なら、過去問は良くて5割ぐらいの出来だと思われますので、復習の量も多くなります。

自学自習では時間もかかるし、理解も不十分に終わる可能性があるため、十分な成果を出すなら、個別指導や家庭教師に教わる必要も出てくることでしょう。さらに、第1志望のほかに最低でも第2志望、通常は第3志望ぐらいまでは過去問演習をすることになります。

このように考えると、1つの学校の過去問演習を徹底的に行うのはかなり困難な作業であることが分かるでしょう。ただ、逆を言えば、そこに勝機もあるのです。1校の過去問演習に、ほかの人より数倍の時間と労力をかけることで、逆転合格の可能性を高めることが出来るのです。

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逆転合格を目指す過去問演習のやり方...
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圓岡太治
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