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逆転合格を目指す過去問演習のやり方

ここでは中学受験の算数を念頭に、過去問演習のやり方と注意事項を説明します。ほかの科目はそれを参考にしていただければと思います。

(1)過去問演習の目的
学習効果を高めるためにも、過去問演習の目的をしっかり意識して取り組みましょう。

・入試問題の形式や傾向をつかむ
入試の答案は答えだけでよいのか、式や説明も求められるのかによって、勉強のやり方が異なってきます。問題構成(1番は計算問題、2番は小問集合、…など)を掴むことも大事です。問題を解く順番や、時間配分によっても点数は変わってくるからです。傾向については、どのような分野が出やすいか、年度ごとにどのような分野が出題されているかを把握する必要があります。

・本番の予行演習
本番と同じように時間を計って解くことにより、問題を解く順番や時間配分を掴み、処理スピードを上げることが出来ます。繰り返せば繰り返すほど上達します。

・試験での難易度や、現時点での出来具合を知り、戦略を練る
過去問を解く時期にもよりますが、その時点で点数が悪くてもあまり気にせず、そこからどのようにして点数を上げていくかを考えます。その場合は、各科目の合格ラインだけでなく、科目全体の総合点で考える必要があります。算数が苦手なら、目標点を50点にして、不足分は理科・社会で補おう、といった総合的な戦略を立てることが大事です。

・弱点分野を把握し、補強する
解けなかった問題はすべて解き直しをして、解けるようにする必要があります。ただし、それだけでは不十分です。過去問演習で弱点や苦手分野が洗い出されたら、その分野を基礎事項から見直し、類似問題を解くなどして弱点補強を図ります。単に過去問を解けるようにするだけでなく、関連問題を解けるようにレベルアップすることが望まれます。

(2)いつから始めるか
原則は、過去問に取り組むのは基礎事項をすべてマスターしてからになります。中学受験の場合、ほとんどの塾では小6の夏休みまでにすべての単元の学習が一通り終わります。夏休みの間に総復習を行い、その後過去問演習に入る、というのが一般的なルートです。したがって、早ければ8月か9月から過去問演習を始めることになります。

しかし、逆転合格を目指すような状況の場合は、その時点ではまだ基礎力が身に付いていないかもしれません。その場合は、スケジュールが後ろ倒しになります。しかし、十分な量の過去問演習を行うには、遅くとも10月中には始める必要があります。基礎事項の学習が終わっていなくても、8月か9月の早い段階で問題を1回は解いて、難易度や傾向を知っておくことをおすすめします。

(3)何年分解くか
3~5年分というのが一般的なケースです。しかし、問題が入手できるなら、出来れば10年分ぐらい解きたいところです。10年分あれば、大体その学校で出題される分野はほぼ出そろいます。もしそれ以上の過去問が入手できるなら、解けるだけ解いた方が良いでしょう。ただし大事なことは復習をしっかりして、過去問で取り組んだ問題はすべて解けるようにしていくことです。消化不良のまま進めても、成果は上がらずに時間を浪費することになります。

(4)予測を立てる
過去の出題傾向から、今年出題される分野の予測を立て、その分野を重点的に勉強しておくことも大事です。運任せの要素もありますが、もし的中した時は、大きなアドバンテージとなります。志望校を対象とする模試がある場合は、可能な限り受けるようにしましょう。模試は、塾や予備校が、その年入試で出題されるのではないかと予測した問題が出題されますので、それを利用しない手はありません。

(5)執念の差が合否を分ける
「試験直前に見た問題がたまたま出題されて高得点を取れた」という話はよく聞く話です。本番の試験でも、「1点でも多く取ろう」と終了のブザーが鳴る最後の最後まで粘り抜くことです。1点の差で合否は決まります。1点でも多く取る努力を試験直前まで続ける執念が逆転合格には欠かせません。

トレーニング受験理論

【トレーニング受験理論とは】
一流アスリートには常に優秀なトレーナーが寄り添います。近年はトレーニング理論が発達し、プロアスリートやオリンピック・メダリストはプロトレーナーから的確な指導を受けるのが常識。理論的背景のない我流のトレーニングでは、厳しい競技の世界で勝ち抜けないからです。自学自習が勉強時間の大半を占める受験も同様です。自学自習のやり方で学力に大きな差が出るのに、ほとんどが生徒自身に任されて我流で行われているのが実情です。トレーナーのように受験生の“伴走者”となり、適切な助言を与えながら、自学自習の力=独学力を高めていく学習法です。

圓岡太治(まるおか・たいじ)
三井能力開発研究所代表取締役。鹿児島県生まれ。小学5年の夏休みに塾に入り、周囲に流される形で中学受験。「今が一番脳が発達する時期だから、今のうちに勉強しておけよ!」という先生の言葉に踊らされ、毎晩夜中の2時、3時まで猛勉強。視力が1.5から0.8に急低下するのに反比例して成績は上昇。私立中高一貫校のラ・サール学園に入学、東京大学理科I類に現役合格。東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。大学在学中にアルバイト先の塾長が、成績不振の生徒たちの成績を驚異的に伸ばし、医学部や東大などの難関校に合格させるのを目の当たりにし、将来教育事業を行うことを志す。大学院修了後、シンクタンク勤務を経て独立。個別指導塾を設立し、小中高生の学習指導を開始。落ちこぼれから難関校受験生まで、指導歴20年以上。「どこよりも結果を出す」をモットーに、成績不振の生徒の成績を短期間で上げることに情熱を燃やし、学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて難関大学に現役合格した実話「ビリギャル」並みの成果を連発。小中高生を勉強の苦しみから解放すべく、従来にない切り口での学習法教授に奮闘中。

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圓岡太治
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