東京の町寿司7軒 行きつけにしたい!毎月通える価格で大満足

家族で力を合わせ、あるいは仕入れに力を入れ、月に1~2度は通えそうな価格で楽しませてくれるのが町の寿司店。本当に嬉しい存在です。ここでは新しく発見したお店に過去の秀逸店を合わせて紹介します。 気負わず通える風情と値段。老…

画像ギャラリー

家族で力を合わせ、あるいは仕入れに力を入れ、月に1~2度は通えそうな価格で楽しませてくれるのが町の寿司店。本当に嬉しい存在です。ここでは新しく発見したお店に過去の秀逸店を合わせて紹介します。

気負わず通える風情と値段。老舗の江戸前仕事に唸る『蛇の目鮨』@成城学園前

成城と言えば高級住宅地。そんな場所で暖簾を出す寿司屋はさぞかし……と身構えつつ入ってみれば、いい意味で肩透かしを食らった。店内はカウンター席に小上がりのある昭和の町寿司そのまんまの風情。夜でも握りもチラシも1650円~と庶民派だ。

にぎり鮨(特上) 3300円

『蛇の目鮨』にぎり鮨(特上) 3300円 昆布水で天日干しの米を炊き米酢と合わせたシャリは旨みがありネタを支える。大トロ、ボタン海老など。巻物は鉄火と山芋巻き

豊洲と川崎の両方の市場で目利きしてくるネタの良さもさることながら、店で炊くカンピョウに、香りを残しつつふっくら煮た穴子、チラシのご飯の上で彩りを添えるおぼろまでもと、細やかな江戸前仕事の積み重ねが56年間、看板を支えてきたのは間違いない。さらに二人三脚で切り盛りする、純一さんとお母さんのやりとりも“味”で、飾らない親子の会話に加われば、自分が一見だったことも忘れてしまう。

『蛇の目鮨』

[住所]東京都世田谷区成城5-13-25
[電話]03-3482-0968
[営業時間]11時半~14時、17時~21時
[休日]水
[交通]小田急線成城学園前駅西口から徒歩4分

つまみも寿司も大満足のコスパ最高コース『おすし磯部』@代々木八幡

外から覗いでみれば、カウンターでひとり酒盃を傾けている人にも、賑やかにテーブルを囲む人にも、お客の中には女性の姿が目立つ。それは味もコスパも雰囲気も、欲張りを全て叶えてくれる店だから。品書きは明朗会計で1貫110円~。豊洲の他に、長崎の漁師から届くちょっと珍しい魚種を見つけるのも楽しみだ。

大将のお任せコース 5940円(寿司10貫)

『おすし磯部』大将のお任せコース 5940円(寿司10貫) この日はカマスの炙り、秋鮭、ツブ貝やハタなど

加えてつまみ、なのである。和食の経験もある店主が作る一品料理は気が利いていて、日本酒と合わせれば握りに行く前からえびす顔。初めてなら「大将のお任せコース」(前日までに要予約)に身をゆだねてしまおう。前菜、揚げ物、刺身に焼き物、さらに美しい姿の寿司10貫もついてこの値段は、コスパに厳しい客もきっと満足する。

『おすし磯部』

[住所]東京都渋谷区元代々木町2-11
[電話]03-6885-7515
[営業時間]17時~23時(22時LO)
[休日]月(祝は営業し翌火・水休)
[交通]小田急線代々木八幡駅北口から徒歩1分

変わるものと変わらぬもの、生まれ変わった老舗の味『鮨すえひろ』 @永福町

前身は店主・名和さんの父が立ち上げ、50年以上この町で愛された「末廣鮨」。ちょうど1年前、装いも新たに「鮨すえひろ」として第2章のスタートを切った。リニューアルに合わせつまみも拡大。寿司屋ならではの新鮮な身を揚げた鯵フライはふわっふわ、大トロを串打ちしたねぎま焼きは炙るとさらに香りも旨みも膨らんでくる。そして、いざ握りへ。

特選にぎり 3960円

『鮨すえひろ』特選にぎり 3960円 大きめに切りつけたネタでシャリを包むように握る。存在感あるシャリの味わいとのバランスも見事。大トロと赤身、シマアジ、白イカなど質の高いネタ9貫と玉子焼き。お椀も付く

冷蔵庫から取り出したケースに並ぶのは、丁寧な仕込みを終えたピカピカのネタたち。昔から仲卸で働く人と人との繋がりを大事にしてきたという名和さんの言葉が腑に落ちるような鮮度と質だ。先代から引き継いだ酸味も甘みもまろやかに立たせたシャリが、かつての「末廣鮨」の味を今に伝えている。

『鮨すえひろ』

[住所]東京都杉並区永福1-44-8
[電話]090-4117-2138
[営業時間]11時半~14時(土・日・祝のみ)、夜は2部制・17時~19時半LO、20時~22時LO
[休日]水
[交通]京王井の頭線永福町駅北口から徒歩2分

味と居心地と、細部までこだわり続ける姿勢に感服!『健寿司』@蒲田

席に座るとシミひとつない白木のカウンターに目を奪われた。長年手入れし続けた檜のそれは、なめらかで肌に当たる感覚も気持ちいい。奥に控える冷蔵ケースにはネタが整然と並べられ、これだけでも実直な仕事ぶりが伝わってくるではないか。現在店を守るのが物腰も柔らかな2代目の光一さん。できるだけ天然の、それも近海物を選んで仕入れている

特上にぎり 3300円

『健寿司』特上にぎり 3300円 スジのない大トロに濃厚なウニと一級品のネタが揃ってこの値段は良心的

歯応えのいい白身や、舌に吸い付くようなマグロとネタの良さは大前提として、3種類を用意する玉子焼きに、刺身のツマも手作り、さらに卓上に置く醤油だって、ひと晩で入れ替えてフレッシュな香りを大事にしている。そんな目立たぬ細部まで惜しみなく技と手間を込めた、お手本のような町寿司だ。

『健寿司』

[住所]東京都大田区蒲田5-19-3
[電話]03-3731-3411
[営業時間]17時~24時(23時40分LO)
[休日]日、祝の月
[交通]JR京浜東北線ほか蒲田駅東口から徒歩2分

つまみになる握り、その秘密は赤酢のシャリにあり『鮨処 まる』@世田谷代田

「ご飯でお酒を飲みたくなるのは寿司だけでしょう?」と店主の柴木さん。この道40年の熟練の指使いから1貫ずつ供される握りは、まさにその言葉通りの味わいだった。味を支えるのが米酢と赤酢を同割で使ったシャリ。口に含めば酸味はシャープでありつつも、後からじわじわと舌を包むようなまろやかさもあり、米粒に沁みた塩もやや強めだ。

江戸前十五貫 6500円

『鮨処 まる』江戸前十五貫 6500円 赤貝の身とヒモに、酢で〆られたキスと小肌、卵を乗せた甘エビ、藻塩をあしらった白イカなど、旬を感じさせる極め付きのネタ15貫が揃う

川崎の市場に足を運び、できる限り天然物で揃えた上質なネタと合わせれば、個性ある人肌のシャリが脂の甘みや旨み、繊細な風味を鮮やかに立たせてくれるのだ。こんな寿司には冷酒よりもおだやかに甘みが膨らむぬる燗がよく似合う。珠玉の握りでゆるゆる酒盃を傾ける、そんな粋な過ごし方もいいだろう。

『鮨処 まる』

[住所]東京都世田谷区代田1-33-12
[電話]03-3413-7716
[営業時間]17時半~21時
[休日]水
[交通]小田急線世田谷代田駅南口から徒歩10分

町寿司の心意気が詰まった至高のマグロを堪能『真寿司』@千石

マグロファーストな寿司屋である。なんてったって、おまかせ握りの最初に赤身、中トロ、大トロの3貫が出てくるのだ。味の良さを伝えるため一番に食べてもらうのだそう。そのマグロを頬張ると大海を泳いでいた頃の活きが伝わってくるような力強い味わいで、後からなめらかさとコクが広がる。

おまかせ12貫 6600円の一部

『真寿司』おまかせ12貫 6600円の一部 今回のマグロは抜群の鮮度で冷凍されたアイルランド産。近海マグロと同価格で取引される逸品だ

なんでこんなにおいしいの!?と店主に聞くと、「できる仕事をしているだけ」とさらりと言う。が、たとえば中トロは筋がない背の真ん中を買い、カットの仕方や大きさ、寝かせ方などに仕事が光る。仕入れ値的にも仕事量的にもコストがかかっている。それがこの値段なのは、旨いと思ってもらうことを何より優先しているから。町寿司の心意気、食べて知るべし。

『真寿司』

[住所]東京都文京区千石4-39-9
[電話]03-6902-2917
[営業時間]17時~21時(20時半LO)
[休日]水
[交通]都営三田線千石駅A4出口から徒歩3分

帰り際の心地いい余韻を作るのは店主の魚愛『紋寿司』@幡ヶ谷

いい店ってお客の雰囲気でわかるものだ。ちょっと珍しい日本酒も取り揃える同店では、まず刺身や焼き物をつまみながら飲み始めて、握りを食べるのがお決まりのコース。と言っても握りは1貫から注文できて、しかも高級店顔負けのいい魚が揃っている。「魚に愛情が伝わるから」と話す店主は注文による仕入れはせず、市場を歩き回ってベストな魚を探す。

おまかせ10貫と巻物 4400円

『紋寿司』おまかせ10貫と巻物 4400円 おまかせ握りのネタは1貫からも注文OKで、例えばアジは330円~というお手頃価格

弾力ある淡路島産のアジからとろりと甘い本マグロの脳天、引き締まった身に脂が乗った迷いガツオまで、食べるとつい「おいしい」が口をつく。と、この独り言に反応した他のお客と目があってお互い笑顔で会釈する。そんな触れ合いにも心をほぐされ、ああいい店だったなあと思いながら帰るのだ。

『紋寿司』

[住所]東京都渋谷区幡ケ谷2-12-17
[電話]03-3377-8308
[営業時間]17時~23時
[休日]木
[交通]京王新線幡ヶ谷駅北口より徒歩1分

撮影/西崎進也(蛇の目鮨、おすし磯部、真寿司、鮨すえひろ)、鵜澤昭彦(まる)、貝塚隆(健寿司、紋寿司)、取材/菜々山いく子(蛇の目鮨、おすし磯部、鮨すえひろ、健寿司、まる)、藤沢緑彩(真寿司、紋寿司)

2023年11月号

※2023年11月号発売時点の情報です。

※各店舗のネタやコースの内容は季節や仕入れで、変わることがあります

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

画像ギャラリー

関連キーワード

この記事のライター

関連記事

『マツコの知らない世界』で「おにぎりの世界」特集 『おとなの週末』おススメの「絶品おにぎり」情報をご紹介!

具材の旨みたっぷり!とろ~りあったかな「あんかけラーメン」のオススメ8選

濃厚なのに食べやすい!? 進化した「おとなの家系」ラーメン4軒

第3次ブーム到来!おとなの週末厳選「今食べるべき」つけ麺4選

おすすめ記事

東銀座ではしご酒!? 角打ち、餃子、〆ラーメンまで、実は「赤ちょうちん」の名店ぞろいな街だった! 

麺が見えない?厚切りチャーシュー6枚と肉ワンタン・海老ワンタンの衝撃『支那そば たんたん亭』

表参道の人気パブが東京駅に!『英國酒場 シェイク&チップス(Shake&Chips)』のミルクシェイクはポテトを付けても美味◎

この食材の名前は? 地中海生まれです

築地の“寿司・海鮮丼じゃない”ランチ3選 ひと手間加えた調理で魚介を味わい尽くせ!

築地でのディナーにオススメ!魚介はもちろんお酒にもこだわった最高の4軒

最新刊

「おとなの週末」2024年5月号は4月15日発売!大特集は「銀座のハナレ」

全店実食調査でお届けするグルメ情報誌「おとなの週末」。4月15日発売の5月号では、銀座の奥にあり、銀…