鶏とろ料理の誕生で愛知県新城市が「鶏のまち」に!道の駅で「鶏フェス2024」も開催

鶏とろ料理の誕生で愛知県新城市が「鶏のまち」に!道の駅で「鶏フェス2024」も開催

鶏とろ料理の誕生で愛知県新城市が「鶏のまち」に!道の駅で「鶏フェス2024」も開催

愛知県新城市にこれといった名物がない!? そのため、道の駅『もっくる新城』もまた名物がないという悩みを抱えていました。しかし、コロナ禍のある出合いにより名物「鶏とろ」が誕生。「鶏のまち」としてアピールすべく、イベント「鶏フェス2024」の開催が決定しました。ここに至るまでの経緯をライター永谷正樹が突撃!

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海と山に囲まれた愛知県東部の東三河地方はまさに食材の宝庫であり、それぞれの町に名物がある。豊橋といえば、カレーうどんやちくわ。豊川はいなり寿司。蒲郡はみかんや魚介。田原は渥美牛やメロンなどなど。

豊橋市や豊川市の北隣に位置する新城市は……。農業が盛んなイメージはあるものの、同じ県内に住んでいる筆者も新城の特産品や名物は聞いたことがない。

“鶏とろ”を使ったメニューを道の駅の名物に!

新東名高速道路の新城ICを下りてすぐの場所にある道の駅『もっくる新城』にはお土産物がたくさん並んでいるが、新城以外の東三河地方で作られたものが多い。

道の駅『もっくる新城』

道の駅で売る名物がないというジレンマは、2015年の開業当時からありました。卵かけご飯食べ放題のモーニングや巨大化させた五平餅やメロンパンなど、これまでさまざまな仕掛けをしてきましたが、そろそろ名物を作りたいと思いました」と、話すのは『もっくる新城』の駅長、田原直さんだ。

今ではすっかり淘汰されてしまった感があるが、コロナ禍の2020年、世間ではテイクアウトのから揚げ店が乱立した時期でもあった。『もっくる新城』もそのブームに乗ろうと、田原さんは鶏肉の卸業者と頻繁に打ち合わせをしていた。そんなある日、卸業者が見慣れない部位の鶏肉を持ってきた。

『もっくる新城』駅長の田原直さん

「それが東三河産の錦爽どりの胸肉と手羽元の間にある肩肉でした。水分量が多く、から揚げにするとジューシーで、煮込んでもパサつかず、しっとりとした食感になりました。調理法を問わず、いろんな料理に使うことができる上に、1年中提供することもできるので、“鶏とろ”と名付けて、これを使ったメニューを名物にできないかと考えました」(田原さん)

と、ここまで書くと、鶏とろと偶然出合った田原さんによって名物が生まれたように受け止められるかもしれない。しかし、新城市はニワトリと深い縁があり、鶏とろとの出合いは偶然ではないことがわかる。

鶏とろ。鶏肉全体の3%にも満たない希少部位。一般にはほとんど流通しないが新城では業務用として流通している

時は戦国時代。若き徳川家康は武田信玄との戦いに大敗して命からがら新城へ逃げてきた。家康一行は疲れた体を休めるべく、満光寺で1泊することに。

「一番鶏が鳴いたら起こしてくれ」と、住職に頼んで床についた。

ところが、まだ夜が明ける前の暗い時間に一番鶏が鳴いた。住職は不思議に思いながらも家康一行を起こした。家康は礼を述べて寺を後にした。その直後、寺は武田軍に取り囲まれたが、すでに家康一行は遠くへ逃げていて命拾いをしたのだった。

家康はその礼として、満光寺のニワトリに三石の扶持を与えたという。

家康から褒美をもらったニワトリがいた満光寺

これが新城に古くから伝わる「徳川家康に褒美をもらったニワトリ」伝説である。ちなみに三石はお米420~450kg。お米10kgがだいたい3000~4000円くらい。間を取って3500円とすると、家康がニワトリに与えた褒美は14万7000円~15万7500円だ。

家康の命を救ったニワトリを食べてしまうのはいかがなものかという意見もあるだろう。しかし、縁起物と捉えて、感謝してその命をいただくのであれば問題はなかろう。

道の駅の人気メニュー「鶏汁定食」に舌鼓

さて、『もっくる新城』に話を戻そう。田原さんは、駅内のレストランで鶏とろを使ったメニュー開発を指示し、試食を重ねて販売をスタートさせた。そのひとつが「鶏汁定食」(900円)である。

豚汁ならぬ鶏汁とは、鶏とろをごぼうや大根、にんじんなどたっぷりの根菜とともに煮込んだ汁物。愛知県らしく豆味噌を味付けに使っているのが特徴だ。鶏汁が注がれたお椀の大きさは丼くらいあり、鶏とろがゴロゴロと入っている。

コクのある豆味噌の味がしっかりと染みた鶏とろや根菜は言うまでもなく、鶏の旨みが染み渡ったツユも絶品だ。これだけでもご飯に合うのに、錦爽どりのチキンカツと半熟卵も付く。しかも、ご飯のおかわりは無料だ。

「半熟卵に専用のタレをかけて、チキンカツをくぐらせて召し上がってください」と、田原さん。その通りに食べると、これまた旨い。大満足の定食だった。

ボリューム満点の「鶏汁定食」

鶏とろを使ったメニューはすっかり道の駅の名物になった。筆者も「鶏汁定食」を目当てにまた訪れたくなったほど。田原さんは「新城鶏学会」を設立し、鶏とろを使ったメニューを道の駅にとどまらず新城の名物にできないかと市役所や商工会に働きかけた。

「将来、ここ『もっくる新城』で全国の銘柄鶏の料理が楽しめる鶏サミットを開催できないかと。そのためには地元がもっと盛り上がる必要があります。市役所や商工会とともに新城市内の飲食店にメニュー開発を呼びかけたところ、15軒以上の店が参加してくれました」(田原さん)

「新城鶏学会」は、新城における鶏料理の普及が目的であり、特定の銘柄鶏や部位を使用するというルールはないが、新城市内の飲食店は主に鶏とろと、卵を産まなくなった親鶏を使ったメニューを用意している。

なお、メニュー開発には地方創生プランナーとして全国の地域活性化プロジェクトに取り組む料理研究家の長田絢氏が監修した。その一部を紹介しよう。

新城市内の飲食店イチオシの鶏料理

『つくで手作り村 味彩館』の「スパイシーチキンカレー」(800円)

こちらは、『つくで手作り村 味彩館』の「スパイシーチキンカレー」(800円)。

作手産高原トマトと高原牛乳、そして鶏とろをじっくり煮込んだピリ辛のカレーだ。爽やかなトマトの酸味と鶏とろの旨みが後を引く美味しさ。

■『つくで手作り村 味彩館』
[住所]愛知県新城市作手清岳ナガラミ10-2
[電話番号]0536-37-2772
[営業時間]10時~15時※土・日・祝は~16時半
[休み]木

『丸山荘 鳳来寺山頂店』の「鶏とろきのこ汁と五平餅セット」(950円)

『丸山荘 鳳来寺山頂店』では、「鶏とろきのこ汁と五平餅セット」(950円)を提供。

新城産の椎茸や白と黒の鳳来きくらげ、鶏とろがたっぷりと入った自家製豆味噌仕立てのきのこ汁に自家製味噌ダレを使用した五平餅が付いたお得なセットだ。

■『丸山荘 鳳来寺山頂店』
[住所]愛知県新城市門谷字鳳来寺7-27 鳳来寺山頂駐車場横
[電話番号]0536-35-0484
[営業時間]10時~16時
[休み]火・水・木・金

『奥三河蒸留所』の「柚子香る親鳥団子と奥三河野菜の豆乳スープ」(1100円)

親鶏を使ったメニューを出しているのは、エッセンシャルオイルを抽出する水蒸気蒸留を体験できる『奥三河蒸留所』だ。ここでは「柚子香る親鳥団子と奥三河野菜の豆乳スープ」(1100円)を用意している。

豆乳スープにはたっぷりの新城の旬野菜と柚子や椎茸入りの親鶏のつくね団子が入る。親鶏ならではの濃厚な旨みが楽しめる。

■『奥三河蒸留所』
[住所]愛知県新城市能登瀬字北野23-4 湯谷園地1
[電話番号]0536-32-0237
[営業時間]11時~14時半
[休み]火・水・木・金

『もっくる新城』の「鶏とろ重」(1100円)

そして、最後は『もっくる新城』

用意しているのは、特製のタレで焼き上げた鶏とろと旨み溢れる親鶏のそぼろが楽しめる「鶏とろ重」(1100円)だ。根菜がたっぷり入った鶏とろ汁も付く。

■『もっくる新城』
[住所]愛知県新城市八束穂五反田329-7
[電話番号]0536-24-3005
[営業時間]11時~17時
[休み]無休

2024年1月20日(土)には、新城市内の飲食店が『もっくる新城』で自慢の鶏料理をふるまう「鶏フェスタ2024」が開催される。鶏好きの方はぜひ参加して、鶏とろや親鶏のおいしさを知ってもらいたい。

取材・撮影/永谷正樹

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