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「晴れの日」ではなく「デイリーユース」に

30年ほど前、酒どころ新潟のある著名な酒蔵で、当主が言っていた言葉を思い出した。

「本来は、普段使いのお酒として、飲んでもらえるのがうれしい」

当時は日本酒の地酒ブームで、気軽に買える値段の普通酒でも、銘柄によっては流通過程で5倍以上の高値となり、“高級酒”に位置づけられてしまう時代だった。日々の家庭の食卓に上げてもおかしくないのに、プレミアが付いて贈答用や特別な記念日に飲むお酒になり、何よりも入手困難になることへの嘆息だった。

思い出した言葉と背景は異なるが、もっと多くの人に、気軽に飲んでもらいたいという作り手の想いは同じだろう。

弘前工場の敷地内にあるりんごの木。品種は不明という

東京では近くのスーパーやチェーンの酒販店で、「ニッカ弘前 生シードル」を見つけた。スタンダードの3種に加え、限定の「紅玉」もある。4種の200mlサイズを複数本、スイートとドライはさらに500mlサイズを購入。(※参考小売価格は200mlが224円、500mlが548円、720mlが741円。いずれも+税。ロゼは200mlと720mlのみ。紅玉は200mlと500mlで、291円・724円+税)。自宅でも、“ほっとする”味が楽しめた。

「晴れの日」に開栓するお酒から「デイリーユース(日常的な飲み物)」へ。

時代は、低アルコール嗜好にもなってきている。70年を経た日本のシードル文化の発展に弾みがつきそうだ。

文・写真/堀晃和

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おとなの週末Web編集部 堀
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