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日本選手初のワールドシリーズMVP、「ゴジラ」の名に恥じない怪物

ニューヨーク・ヤンキースに入団し、左翼手の定位置を掴んだ松井はデレク・ジーター(49)やジェイソン・ジアンビ(53)らとともに強力打線に名を連ね、1年目は16本塁打ながら106打点と勝負強い打撃を見せ、2年目には31本塁打をマーク。ヤンキースタジアムのライトスタンドに叩き込むホームランの飛距離は、メジャーリーグの強打者たちと比べても遜色なく、「ゴジラ」の愛称に名前負けしない怪物ぶりを見せた。それまでドジャースやマリナーズなど西海岸のチームでプレーする日本選手が多かった中、東海岸の、それも名門ヤンキースでプレーする姿は、新鮮に映ったものだ。

松井はメジャーリーグで10シーズンプレー(ヤンキース、ロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム、オークランド・アスレチックス、タンパペイ・レイズ)し、放った本塁打は175本。2024年の開幕時点で日本選手最多の本数だ。

打撃の個人タイトルを獲ることはなかったが、ヤンキース在籍最終年、2009年にフィラデルフィア・フィリーズとのワールドシリーズで13打数8安打8打点、3本塁打の大活躍でMVPに輝いている。

ヤンキースタジアムでの第2戦、メジャー屈指の剛腕、ペドロ・マルティネスから放った特大のホームランは今も語り草だ。これまでチャンピオンリングを手にした日本選手はいるが、ワールドシリーズでMVPを獲得したのは松井しかいない。印象的な活躍が多かったことが、「記録のイチロー」に対して、「記憶の松井」といわれる所以だろう。

2012年に現役を引退したが、その鮮烈な印象は、今も色褪せない。

ヤンキー・スタジアム Felix Mizioznikov@Adobe Stock

日本選手VS日本選手、眠れない日々

メジャーリーグに確固たる足跡を残したイチローと松井。後に続くものたちは、二人の大打者の背中を追い続けていく。

2023年に本塁打王を獲得してイチロー以来の打撃タイトルホルダーとなった大谷は、2024年のシーズン、4月12日のパドレス戦で日本選手最多タイの175号本塁打を放ち、松井の記録に並んだ。近く、単独トップになるのは間違いないだろう。

この大谷をはじめ、2024年のシーズンは、シカゴ・カブスの鈴木誠也(29)、ボストン・レッドソックスの吉田正尚(30)とチームの中軸を担う注目の野手が目白押し。サンディエゴ・パドレスのダルビッシュ有(37)、ドジャースの山本由伸(25)、カブスの今永昇太(30)ら投手との対決も楽しみだ。

思えば、メジャーリーグで、日本選手同士の対決がこんなにひんぱんに見られるのも、この60年の歩みを考える上で感慨深い。

アメリカとの時差は13~16時間あり、デーゲームは日本時間の深夜、ナイトゲームは午前中に行われる。野手は投手と違い、レギュラーになれば連日試合に出場する。しばらく寝不足の日々が続くことになりそうだ。

メジャーリーグでの日本選手通算安打10傑

石川哲也(いしかわ・てつや)
1977年、神奈川県横須賀市出身。野球を中心にスポーツの歴史や記録に関する取材、執筆をライフワークとする「文化系」スポーツライター。

Adobe Stock(トップ画像:ヤンキー・スタジアム Audley C Bullock/Wirestock Creators@Adobe Stock)

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石川哲也
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