旬の食材は食べて美味しいだけではなく、栄養もたっぷり。本コーナーでは魚や野菜、果物など旬食材の魅力をご紹介します。
さて、今回のテーマとなる食材は?
文/おと週Web編集部、画像/写真AC
■梅を赤くします
正解:赤しそ
難易度:★★☆☆☆
梅干しには欠かせません
梅干しの色づけに使われることが多い赤しそは中国原産のハーブで、「東洋のハーブ」と呼ばれることもあります。6~8月頃までが旬で、さらに梅の実の収穫時期が6~7月頃なので、梅干し作りのタイミングにぴったり。
ちなみに、「大葉」と呼ばれる青じそもありますが、こちらの旬も露地栽培ものは7月~10月となっています。
実は、大葉はハウス栽培をする生産農家が多く、1年を通じて流通しているのですが、赤しそはハウス栽培ものは少なく、露地栽培のものが6~8月頃の期間限定で出荷されることが多くなっています。
大葉との大きな違いは、香りは少なめということ。また、アクが強いので生食には向かず、調理前には塩もみをしてアクを抜く必要があります。
アク抜きをしないと苦味やえぐみを感じます。この苦味やえぐみの正体は、シュウ酸やポリフェノールです。と聞くと、アク抜きをするのがちょっともったいない感じがしますね……。
梅干しに赤しそを入れる大きな理由は、梅を赤く染めるため。梅漬けや梅干しは赤いというイメージがありますが、梅の実だけを漬けても赤くはなりません。梅酒の梅のように青いままです。しかし、そこに赤しそを入れると、赤しそのポリフェノールの一種であるシアニジンと梅のクエン酸が化学変化を起こして赤く色がつくのです。
赤しそは梅干しの色づけ以外にも、大根やかぶの漬物の色づけ、しば漬けに使ったり、ゆかりやジュースなどに加工されることもあります。
しそジュースの場合も赤しそを煮出す必要があります。赤黒っぽい煮汁にクエン酸やりんご酢などのお酢を入れると鮮やかな赤色に発色します。
赤しそに限らず、しそは繁殖力が非常に強く、自然に落下した種子からでも発芽して放置しておいてもぐんぐん生長します。
そのため、家庭菜園などで栽培して放置しておくと畑がしそだらけなんてことにもなりかねません……。
また、赤しそと青しそを近くで栽培すると交雑してしまって、それぞれの風味や色の鮮やかさが落ちてしまうので注意しましょう。