10種類の餃子、お薦めは中国で主流の水餃子
池袋から山手線で3駅行った新大久保にも足を運んでみよう。この駅で乗下車する客は、外国人の方が多いほどだ。
駅の広い改札口の左手に、出口専用の小さな改札があり、そこを出て左手に歩くこと数十メートル。中国式水餃子の名店『兆奎餃子』がある。ここでは、瀋陽で「餃子名人」と仰がれた王海峰師傅(親方)が、日々800個もの餃子を握る。その職人芸はオープンキッチンの工房で見られ、寿司職人のように「握る」という動詞が一番ピッタリくる。餃子は肉三鮮餃子(豚肉・エビ・玉子・ニラ入り餃子)以下、10種類。それぞれ水餃子・焼き餃子・蒸し餃子から選択できるが、やはりお薦めは中国で主流の水餃子だ。
「西安式ハンバーガー」「朝鮮族式クレープ」「三西式フライドポテト」とは?
次に、同じく山手線の外側、大久保通りから細い路地に折れて辿り着くのが、西安屋台料理の『張小記』。わずか16席しかないが、いつも若い中国人たちの行列ができている。この店のお薦めは、「西安式ハンバーガー」の「牛肉夾●」(●は、「食」へんに「莫」)と、「ビャンビャン麺」。「ビャン」の漢字は57画もあって、印字不能!
大久保通りを山手線の内側に入ると、東京最大のコリアタウンが広がっている。その一角の地下に、ひっそりと佇むのが、中国朝鮮族料理の『延吉香』。激辛の韓国料理でも、水辛い北朝鮮料理でもない、甘辛の中国朝鮮族料理の逸品が味わえる。「延吉冷麺」と「●冷麺」(朝鮮族式クレープ)(●は「火」へんに「考」)は納得の味だ。
さらに大久保通りを進み、明治通りとの交差点を右折した地下にあるのが、山西料理の名店『山西亭』。私はこの店を「黒酢の魔法使い」と呼んでいるが、「山西式フライドポテト」の「不爛子」を始め、現地の黒酢を使って炒めた絶品が揃う。
さあ、日常とは異なる東京――「ガチ中華の旅」に出かけよう!
文/近藤大介
こんどう・だいすけ。講談社『週刊現代』編集次長、コラムニスト。講談社入社後、北京大学に留学し、中国、朝鮮半島を中心とする東アジア取材をライフワークとする。『現代ビジネス』の連載コラム「北京のランダム・ウォーカー」は700回を超え、日本で最も読まれる中国関連コラムとして知られる。