うまい餌と豊な海域が生み出す「“シャコうなぎ”をいっぺん食べて」
実は児島湾のシャコうなぎの漁師の数は少ない。シーズンを通してこの漁で生計を立てているのは5人ほどだという。そのひとりが大元智朗(54)さん。
妻の実家の家業を引き継ぐかたちで25年ほど前にこの道に入った。漁はまず、うなぎのエサとなる穴ジャコを獲るところから始まる。
寿司のネタになるそれとは違い、汽水域の砂地50cm~深ければ2m近くになる巣穴の中で生息する甲殻類だ。干潮時の干潟に行って、歯を特別に長く拵えたクワで掘り起こすのもかなりの重労働。
そうしてエサが確保できれば、ここからが本番だ。漁法は1本のロープにつながれた針を落としていく延縄漁。夜行性のうなぎが活発になる17時頃に船を出し、手早くエサを付けながら200~300もの仕掛けを次々と投入していく。
そして2~3時間後、うなぎがエサに食いついた頃合いを見計らって回収。その日の獲れ高やサイズによって、『とっとんめ』や『玄多』などの市内の飲食店に卸すほかにも、東は活きたまま届けることができる愛知まで発送している。
撮影/西崎進也、取材/菜々山いく子
※2024年8月号発売時点の情報です。
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