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景観と希少な美味に大満足の旅

岡山にはシャコを食べて育つ「シャコうなぎ」ってヤツがいて、どうやら天然うなぎでは日本一と言われているらしい。それを知ったのは今から10年ほど前のこと。以来、死ぬまでに食べたいものの上位に挙がっていたが、今まで放置していたのは私が怠惰な性格だからでしょう。

とはいえ、ついに実現する時がやって来た。積もり積もった憧れを胸にいざ岡山へ!朝9時頃の新幹線に乗ったら、昼過ぎにはもう岡山。もっと遠い場所かと思っていたけど、道のりは案外近い。

その足で向かったのが『うじょう亭』だ。ちなみに“うじょう”とは真っ黒な天守閣を持つ岡山城の別名が“烏城(うじょう)”なんだとか。へえ~。お店はそんなお城のすぐ近く。

岡山城の別名“烏城(うじょう)”

白焼きとうな重を注文すると、親父さんは生け簀から大きなカゴを引き上げて、わんさかいる中からサイズを確かめつつ最適な2匹を選んでくれた。つい数日前に電話した時には、「漁で獲れなければ出せないよ」とそっけなく言われてしまったけれど、生け簀の様子を見る限りシーズン中は高確率でありつけそう。

『うじょう亭』海水で満たした生け簀から好みのサイズを選んでくれる

親父さんが手際よく裂いた身は真っ白。養殖物よりずっと白さが際立っている。出来上がった白焼きに挑めば、目を丸くするほど強い甘みと濃い旨みが広がった。これがシャコうなぎか!

『うじょう亭』裂いた身は透明感のある純白

ちなみに地元では“青江(地名)で獲れるうなぎ”から“青うなぎ”と呼ばれ、江戸時代から京都や大阪にも運ばれていたというから、今でいうブランドうなぎの走りだったんだろうな。

続いて、市内の中心地から児島湾大橋を渡って訪れたのは漁師の大元さん。色々と話を伺う中でも憂いていたのはやはりシャコうなぎの今後で、漁を始めた25年前には1日20kgほど水揚げがあったにも関わらず、現在は1ヶ月でそのくらいの量にしかならないそうだ。

理由はとある関係者によれば水質の変化によるものだそうだし、他にも海鵜が繁殖しすぎたせいと語る人も。

シャコうなぎ

シャコうなぎを守り育てて行く活動も現在模索しているという。取材後に大元さんの奥さんがエサになる穴ジャコの素揚げを出してくれた。エビ味噌を何倍も濃厚にしたような味わいで人間にとってもご馳走。これを食べてるんだから、そりゃあ身の味、濃さだって増すはずだ。

そんな大元さんが出荷しているのが『とっとんめ』『玄多』で、家族や仲間で気軽に楽しむならば前者がおすすめだし、後者はしっとり大人の夜が似合う店。2軒ともうなぎの他にも瀬戸内の海の幸をふんだんに扱っている。

『寿し茶屋 とっとんめ』おまかせにぎり 3751円 イサキや鯛、山陰のマグロ、キンメなど、その日の特に上質なネタを握ってくれる

とまあ、シャコうなぎについて、色々取材を重ねていたけれど、空き時間にはしっかり観光も楽しめるのが岡山のいいところ。

岡山城に隣接する「後楽園」は、水戸の「偕楽園」、金沢の「兼六園」と並ぶ日本三名園のひとつで、岡山藩2代目藩主・池田綱政が憩いの場として築いた大庭園。夏の鮮やかな緑に囲まれて、旅のひと時をのんびり過ごすにはうってつけだ。

さらに岡山駅から電車に15分ほど揺られれば、あっという間に倉敷。白壁の町並みと洋風建築が調和する美しい町並みが広がっていて、ぷらぷら歩いて、ショップや飲食店を巡るのも楽しい。

倉敷

シャコうなぎと観光を堪能した旅はこれにて終了。憧れの味は、澄んだ甘みと力強い風味に満ちていて、想像をはるかに超えるものだった。この夏の旅行は岡山に決めて自分の舌で確かめてみては?

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うまい餌と豊な海域が生み出す「“シャコうなぎ”をいっぺん食べ...
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おとなの週末Web編集部
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