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座席は絹織物を使用した生地の特注品

御料車に代わる皇室専用車両として誕生した特別車両は、形式を「E655-1」といい、グリーン車を表す「サロ」などの車両記号は冠しなかった。また、車両の名称を御料車としなかったことにならい、室内の名称も改められた。天皇、皇后両陛下のお居間である御座所(ござしょ)は「特別室」に、御休憩室は「休憩室」、御化粧室は廃し「トイレ」とした。

内装には天然木を使用し、引き戸には高級和紙を用いた和装を取り入れた。座席は絹織物を使用した生地の特注品とし、老舗高級百貨店がその製作を担当した。日本らしい「和」を表現した室内デザインは、皇室にふさわしいできばえとなった。

特別車両のサイドビュー。一段と大きい窓がある位置が特別室で、その窓下には菊華御紋章が取り付けられるようになっている。写真は回送列車なので、菊華御紋章は掲出されていない=2010(平成22)年9月27日、JR外房線上総湊駅~竹岡駅間(千葉県富津市竹岡)

文・写真/工藤直通

くどう・なおみち。日本地方新聞協会皇室担当写真記者。1970年、東京都生まれ。10歳から始めた鉄道写真をきっかけに、中学生の頃より特別列車(お召列車)の撮影を通じて皇室に関心をもつようになる。高校在学中から出版業に携わり、以降、乗り物を通じた皇室取材を重ねる。著書に「天皇陛下と皇族方と乗り物と」(講談社ビーシー/講談社)、「天皇陛下と鉄道」(交通新聞社)など。

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