昭和の御料車から引き継いだ「菊の御紋章」
車体の外部中央に掲出される菊華御紋章も、旧国鉄製の御料車や貴賓車から取りはずしたものを再整備して取り付けてはいるが、特に公表されていない。車体や窓ガラスには「防弾装甲」が施されているというものの、これも非公表。公然の秘密に包まれた車両、それが特別車両なのである。
文・写真/工藤直通
くどう・なおみち。日本地方新聞協会皇室担当写真記者。1970年、東京都生まれ。10歳から始めた鉄道写真をきっかけに、中学生の頃より特別列車(お召列車)の撮影を通じて皇室に関心をもつようになる。高校在学中から出版業に携わり、以降、乗り物を通じた皇室取材を重ねる。著書に「天皇陛下と皇族方と乗り物と」(講談社ビーシー/講談社)、「天皇陛下と鉄道」(交通新聞社)など。