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■実際に「除霊できるんですか?」と質問されることもある

 しかし巷でまことしやかに語られる機能というものがまれにある。こちらがまったく宣伝していないのに、どうやらできるらしいとささやかれる機能だ。私が観測した範囲では、「プラズマクラスターは除霊に効くらしい」というやつがある。くれぐれも言っておくが、私が主張しているのではない。ただの一度もそんな宣伝をしたことはない。

 おそらく「プラズマクラスター」という、どこか武器や必殺技の名を感じさせる語感や、ホラー映画でよく語られるエクトプラズムに通じるような、プラズマ部分のネーミングが、噂の原因ではないかと思っている。空気も霊も「目に見えない」というあたり、絶妙な共通点として作用しているのかもしれない。空気の浄化機能であるプラズマクラスターだから、その浄化にスピリチュアルなイメージが引っぱられることもあるだろう。

 実際に「除霊できるんですか?」と質問されることもある。そのたびに仰け反りながら「できるわけがありません」と即答しそうになるが、ふと真顔で私は「わかりません」と答えることにしている。

 なぜなら品質チェックの人がチェックしていないからだ。その機能が品質チェックの人たちによって「除霊ヨシ!」と言われるまでは、私にとってアリかナシか、いつまでも真偽不明で保留されるべき案件なのである。だから私は「わかりません」のあとに、「霊さえご用意いただければ検証します」と続けるのだ。

 そう述べる時の私の脳裏には、なんか白くてふわふわしたものを入れた容器を囲む、品質チェックの人たちの仏頂面が浮かんでいる。たぶんあの人たちは除霊が成功した時でも、ゴーストバスターズのようにグッジョブと喜ぶことさえしないだろう。いまの除霊が確からしいかを調べるために、もう一度繰り返すか、別の方法を試すにちがいない。

 だからみなさまにおかれましては、私がわめきちらす宣伝文句を、どうか一瞥の信用をもって眺めてほしいのである。なにも無根拠にがなり立てているわけではないのだ。さらに言えばプラズマクラスターにいたっては、こわい品質チェックの人たちに加えて、公的な実証機関による科学的な検証を経ております。どうか除霊以外の、ご愛顧のほどを。

文・山本隆博(シャープ公式Twitter(X)運用者)
テレビCMなどのマス広告を担当後、流れ流れてSNSへ。ときにゆるいと称されるツイートで、企業コミュニケーションと広告の新しいあり方を模索している。2018年東京コピーライターズクラブ新人賞、2021ACCブロンズ。2019年には『フォーブスジャパン』によるトップインフルエンサー50人に選ばれたことも。近著『スマホ片手に、しんどい夜に。』(講談社ビーシー)

まんが・松井雪子
漫画家、小説家。『スピカにおまかせ』(角川書店)、『家庭科のじかん』(祥伝社)、『犬と遊ぼ!』(講談社)、『イエロー』(講談社)、『肉と衣のあいだに神は宿る』(文藝春秋)、『ベストカー』(講談社ビーシー)にて「松井くるまりこ」名義で4コママンガ連載中

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山本隆博
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