暑すぎるとビールが売れなくなる!?
以前聞いて釈然としていなかったのが、気温が35度を超えるとビールの売り上げが落ちてしまうということ。汗をかき、暑くてカラカラに乾いた喉に流し込む冷たいビールは最高のご馳走だと信じて疑わない筆者。
気象予報士さんにその疑問をストレートにぶつけ返ってきた答えが「ビールのカロリーって、やはり高いんですよね」
これは代謝や自律神経の話とつながってくる。暑い時期はたくさん汗をかくから、代謝は上がりそうなイメージだが、実は冬場のほうが代謝は上がると聞いたことがある。
「寒い時期は、熱を作り出すのに心臓を一生懸命動かすため、カロリーがたくさん必要なんです。でも夏は心臓の動きをなるべくゆっくりにして、熱を作り出さないように体が自然と消費カロリーを抑えているんです。なので、夏の体はカロリーがとにかく嫌いなんですね」
実体験として納得できるような。皆さんはいかがだろうか。
秋口になって少し涼しくなってくると食欲の秋を迎える。寒くなるにつれ、熱を作り出す代謝を上げるためにカロリーがたくさん必要になってくるので、冬にかけてこってりとしたものがどんどん欲しくなるんだとか。
と言いながら私は一年中、ビールもこってりしたアイスクリームも好きでいただいているのだが。
酷暑だと売り上げはどう変わるのか
2023年、東京の7〜9月は35度以上の猛暑日が22日、30度以上の真夏日が64日間もあり、ザ・真夏という気温の日が観測史上初めて3ヵ月間も続き、例を見ない夏になった。
その時に売れたのが、菓子パンや調理パン、ヨーグルトなど、冷夏のときに売れる食材なのだそう。
前項で28度を超えたら売り上げが下がると書いたものたちだが、どういうことだろう。
「昨年はあまりにも暑すぎて、屋内で過ごす人が増えたために、こういった食材の需要が伸びたのではないかと分析しています。同様に昨年は制汗剤や日焼け止めクリームなど、外で活動する機会が減ったことで夏商材の売り上げも落ちてしまう傾向が露骨に見られました」
確かに、強烈な日差しや暑さはもちろん、熱中症も怖いし、極力外に出たくないものね。
でも家にずっと篭(こも)っているわけにもいかないし、食欲が減退してしまった時や夏バテ防止のためにはどんな工夫があるのだろうか。
「特に涼しい室内で過ごして、蒸し暑い外に出るという、大きな温度差を繰り返していると自律神経が働き過ぎてしまい、体がバテてしまったり、不調をきたしてしまったりしがちです。それ以外にも、睡眠不足や食欲不振などで調子を崩してしまうケースもよく耳にします」
暑い時こそご飯が重要
気象予報士さんによると、朝ご飯を食べ損ねると、脱水の状態でスタートする最悪な状態なのだそう。
「炭水化物はエネルギー源になります。バナナ1本でも良いので必ず摂っていただけたらと思います。特におすすめなのが食べることで水分補給にもつながるご飯。炭水化物に合わせて、ビタミンB1やタンパク質など、基本的にバランスの良い食事を意識してくださいね。食欲がない時は酸みがあると美味しく食べられると思うので、ご飯と梅干しや漬物などを朝食でいただくというのは理にかなっています」
なるほど。個人的に気になっているのが、炭水化物を食べると体温が上がってしまい、体がとても熱くなること。エアコンが効いている部屋でも気づくと汗をかいていることも。それでもご飯は食べたほうがいいのだろうか。
「熱くなるのは、ご飯に含まれる糖質燃料のグリコーゲンの働きです。熱くなり過ぎてしまう時は、一気にたくさん食べるのではなく、ちょこちょこ食べて対応するのがおすすめです」
それから、口当たりがいいから、これなら食べられるからと、冷たいものばかり摂ってしまいがち。そうすると余計に疲れやすいとか、夏バテしそうな気がする。
「冷たいものを連食することは胃腸に良くありません。腸は自律神経のバランスを保つためにとても大事な臓器で、腸内環境を良くすることは大切です。たとえば(3食のうち)1食冷たいものをいただいたら、残り2食は温かいものにするなど、胃腸も労ってあげてください」
そうなのだ。野菜が好きなので特に「夏野菜」に分類される野菜たちをよく食べるが、体が冷えているという感覚が実際にある。熱くなったり冷えたり、我が体も大変だなぁ。