目指したクラフトジンのコンセプトは「東京ローカルスピリッツ」
そこで一場さんが目指したクラフトジン。そのコンセプトは、「東京ローカルスピリッツ」。ローカルな素材を使った、東京らしい、新しい日常酒だ。難しくなく、「ああ、この香り!」と楽しめる。極力シンプルに、素材のエッセンスを最大限に引き出そうと考える“引き算のジン”でもある。
蒸留前のベースアルコールとして使うのは、八丈島や新島などの伊豆諸島で造られる島酒、島焼酎だ。そして仕上げの割水には奥多摩源流、青梅沢井の湧き水が用いられている。東京の酒と水。ベースの焼酎は飲み口にまろやかさや奥行きを与え、やわらかい飲み口の軟水は自然な甘みを引き出している。
ラインナップは大きく分けてふたつある。ひとつはこちらのレギュラージンである「COMMON」。八丈島の島酒「情け嶋」をベースに、ジュニパーベリーとチコリルートで香りづけされている。味わいに島焼酎の個性も生きながら、シンプルですっきりした香りはストレートでよし、ソーダやトニックで割ってもよし。食中酒としてそれこそ唐揚げにもポテサラに合わせても抜群に相性よく楽しめる。
そしてもうひとつが「季節のジン」。新島の「嶋自慢 羽伏浦(はぶしうら)」をベースにし、最も香りのよいときに収穫したボタニカルを蒸留して時季の植物のありのままをシンプルに感じられるようにしている。たとえば、「いちご」「青梅の梅と梅の花」「東京のキンモクセイ」「不知火と紅はっさく」等々。名前を挙げるだけで、香ってみたくなるではないか!
季節のジン「いちご」のソニック
スタッフやときには一般の人にも参加してもらって収穫や採取に出かけるそうで、造る過程も大事にしている。
そのほかにも周年ボトルやアブサンなど、年間20種類は造っていて、ここに来れば、ガラス越しにピカピカのボットスチルを目にしながら、常時12~13種類飲めるのがうれしい!
四周年ジン hibi、四周年ジン hosi、みかんの花、カモミール
ソーダで割ればパーっと香りが開いて爽快。自由な飲み方で、つまみと合わせて、思う存分味わっていただきたい。
『虎ノ門蒸留所』
[住所]東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー3階 虎ノ門横丁
[電話]03-6205-7285
[営業時間]11時半~15時(14時半LO)、17時~23時(22時LO)、土:12時~22時半(21時半LO)、日・祝:12時~22時(21時LO)※電話、営業時間ともに隣接の『酒食堂 虎ノ門蒸留所』の情報です。
[休日]無休
▶おとなの週末2025年1月号は「東京駅」
撮影/西崎進也、取材/池田一郎
※2024年9月号発売時点の情報です。
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。
…つづく『未知のお酒、店主の趣味全開な店内…通いたくなる「キャラ濃いめ酒場」のススメ』では、覆面調査隊が店主たちもキャラ濃いめな、酒・料理・店主もおいしい酒場を実食レポートしています。