高額な先進安全装備用パーツ
皮肉と受け取られるのは、衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全装備だ。装着車が増えれば追突する危険が減って修理費用の上昇も抑えられるが、実際にはすべての衝突事故を防げるわけではない。
安全装備の装着車では、ボディの先端や後端にセンサーを内蔵した車種も多いため、交通事故を防げずに衝突すると修理費用を高めてしまう。それが任意保険料の値上げにも結び付いている。
修理費用や任意保険料が高まると、ユーザーの負担が増えてクルマの売れ行きにも悪影響を与える。昨今はクルマの価格も高まり、同じ車種と同等のグレードで比べた場合、15年ほど前の1.2~1.4倍に達する。その一方で、平均所得は約30年前に比べて増えていない。修理費用まで視野に入れて、クルマの装備や塗装を見直す必要がある。
文/渡辺陽一郎(わたなべ よういちろう):自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。執筆対象は自動車関連の多岐に渡る。
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