浅草橋『生蕎麦 すぎ栄』
店前には使い込まれた出前用バイク。丼を乗せたお盆を何段も積んで運ぶ店主を見ていれば、地元で愛される店だとすぐわかる。「小学生の頃からエビの殻剥きなど手伝っていて、出前は中学から」と笑うのは2代目だ。先代がこの地に店を構えて54年。名物は多いが、手仕込みのカレールウを使った蕎麦はぜひ試して。
小麦粉をラードで炒る作業から手間暇かける昔ながらの手法で、和ダシの奥からスパイシーな香りが花開けば心地いい陶酔。自家製蕎麦は企業秘密の割り粉を2種用い、のど越しとコシを大事にするそう。
王道なら天ぷら蕎麦。熱々のエビ天をのせるやジュッ。音と共に運ばれると皆喜ぶとか。ちなみにご近所への出前は1品からでも。「高齢の方も多いですからね」。下町人情に泣けてくる。