ダイハツタントX(158万4000円/2WD)
N-BOXと同様に全高が1700mmを超える軽自動車で、両側にスライドドアを装着する。しかも左側のピラー(柱)はスライドドアに内蔵した。そのために左側のドアを前後ともに開くと、開口幅が1490mmに広がる。
開口部がワイドだから、子育て世代のユーザーが使う場合、ベビーカーを抱えた状態で乗車できる。さらに車内で子供をチャイルドシートに座らせ、ベビーカーを畳み、運転席へ移動できる。
これだけ開口部が広ければ、高齢者が体を捩らずに乗り降りすることも可能で、子育て世代や高齢者のいる世帯では、便利で快適に使える軽自動車になっている。ピラーに工夫を凝らしながら価格も割安だ。
スズキハスラーハイブリッドG(151万8000円/2WD)
スズキハスラーは全高が1680mmだから、比較的背が高い。そしてスライドドアを装着しない軽自動車では、販売台数が最も多い。人気の理由は、背の高いボディでありながら、内外装をSUV風に仕上げたことだ。
フロントマスクには、SUVのカテゴリーと親和性の高い丸型ヘッドランプが備わり、最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)は180mmだから、悪路のデコボコも乗り越えやすい。
車内も広く、身長170cmの大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の膝先には握りコブシ3つ半の余裕がある。後席のシートアレンジも充実しており、背もたれを前側に倒すと座面も下がって平らな荷室になる。前後のスライド機能も備わり、これらのアレンジはすべて左右独立式だ。
スペーシアのような全高が1700mmを超える軽自動車と同様の使い勝手を備える。
色彩も豊富で、買い得グレードのGにはアルミホイールが装着されずスチール製だが、ボディカラーに応じてホワイトやガンメタリックに塗装した。これらの相乗効果で人気を高めている。
以上のように軽自動車は、各種の使い勝手からデザイン、価格まで、日本のユーザーの日常生活を見据えて開発されている。そのために海外向けの3ナンバー車と違って、売れ行きも好調なのだ。
文/渡辺陽一郎(わたなべ よういちろう):自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。執筆対象は自動車関連の多岐に渡る。
写真/ホンダ、ダイハツ、スズキ