空気感とコミュニティに惹かれた京島
ところで、異業種から飲食店をはじめるにあたって、京島エリアでスタートする不安はなかったのだろうか。
「京島は他のエリアと比較して比較的家賃が安く、古民家を改修して店を開き、自身のやりたいことを実現させたいという30代から40代の店主が本当に多いので、初めてでも凄くやりやすかったです。店同士の仲も良く、この場所のコミュニティやみんなで京島を盛り上げていこうという雰囲気も気に入っています。うちにないお酒を頼まれたら、近隣のお店をこちらからご紹介することも多いですね」
そう語りながら、手際よく料理の準備をしつつ、訪れるゲスト一人ひとりと気さくに会話する天坂さん。そうして会話を盛り上げた結果、隣になったゲスト同士が友人になり、京島の近隣のお店を梯子することも少なくないそうだ。
新旧が入り混じる、ユニークなエリアへ
「好きなものに囲まれ、本当にやりたいことを形にしていると、自然と毎日が生き生きした日々に変わる」と語る天坂さん。京島の店主たちが展開する店は、バルや居酒屋、蕎麦屋やベーカリーなどはもちろん、ボードゲームカフェやレザー雑貨とワインの店など、個性が光るスポットばかり。
ノスタルジーな空気と新しさが交差する、新旧入り混じるエリアにぜひ足を運んでみてはいかがだろう。
文・写真/中村友美
フード&トラベルライター。東京都生まれ。美術大学を卒業後、出版社で編集者・ディレクターを経験後、現在に至る。15歳からカフェ・喫茶店巡りを開始し、食の魅力に取り憑かれて以来、飲食にまつわる人々のストーリーに関心あり。古きよき喫茶店や居酒屋からミシュラン星付きレストランまで幅広く足を運ぶ。趣味は日本全国の商店建築巡り。