雨後の筍のように新店が現われる都内のラーメン店。その中でもキラリと光る醤油ラーメンの“名店候補”を見つけました。醤油ラーメンといえば、鶏や豚に煮干しといった素材にカエシを合わせたスープ。素材を活かして旨みを出せば、醤油を効かせてほっこり懐かしい味わいで勝負する店も。そんな“らしさ”あふれる王道の一杯を紹介します。
【2024年11月11日OPEN!】脇役のはずの和え玉だって主役級の旨さ『麺や晴心(せいしん)』@落合
――深い。旨みが、深いのである。核となるのは、山口の希少な地鶏である長州黒かしわ。そこに豚や煮干し、昆布、節類、野菜の旨みを重ねていく。
でも、実際はもっと複雑。たとえば昆布だけでも3種類、野菜にいたっては7種類、醤油だって5種類と、たくさんの食材を使い、深い旨みの層を構築している。トマトや貝類、椎茸など、肉や魚とは階層の異なる旨みを幾重にも重ねることでできる複雑な味わい。
特製(醤油)1500円
「何が入っているかわからないけれど、おいしい」は、店主にとって最高の褒め言葉だ。
おかげで、ほとんどの人が丼を空っぽにして帰る。チャーシューの出来栄えも格別。しっとり柔らかな低温調理の鶏ムネ、香ばしい岩中豚の吊るし焼き、甘い脂がとろける梅里豚の煮豚と、デフォルトでも3種類のチャーシューが楽しめるなんて、最高じゃないか。
ちなみに、3種のチャーシューが2枚ずつ、おまけに味玉までのる「特製」は1500円。このご時世に感謝、感謝である。
店主:高野将弘さん「週替わりの限定麺&ご飯もおすすめです!」
[住所]東京都中野区東中野4-30-16
[電話]非公開
[営業時間]11時~16時LO
[休日]不定休
[交通]地下鉄東西線落合駅2b出口から徒歩1分
【2024年9月18日OPEN!】丸みを帯びたスープに旨々が詰まっている『らぁ麺花筏(はないかだ)』@亀戸
着丼されたそれは楚々としながら艶やか。一気に期待感が高まる中、まずはスープをひと口。透き通って丸みを帯びた味わいの後からじんわり旨々のコクがやってくる。おいしさのディテールがいっぱい詰まっていて、しかもその解像度が高い。
特製らぁ麺・醤油1400円
鶏、豚、牛の動物系にカツオ節や昆布、提供直前には別取りされた貝のスープも。食べ進めて温度帯が変わるにつれ、いろんな表情が現れる。そしてその厚みをしっかり受け止めるのが、中細ストレートのモチリとした麺だ。
絶品のチャーシューについても語らねば。中でも林SPFポークを使った炭火吊るし焼き。抜群の火入れのジューシーさとたまらない燻香が絶品だ。
一つひとつの素材が丁寧に吟味され感激の一杯。
店主:田中章好さん「醤油は10種類をブレンドして使っています」
[住所]東京都江東区亀戸7-49-4高庭ビル1階
[電話]なし
[営業時間]11時〜15時※土・日・祝は10時半〜
[休日]月、隔週火
[交通]JR総武線亀戸駅東口から徒歩10分
【2024年4月18日OPEN!】地鶏と醤油が香る芳醇なスープと手打ち麺のコラボ『燎〜kagaribi〜』@新富町
大切にしているのは“素材感”だ。主役の地鶏こそ青森シャモロック、天草大王、黒さつま鶏の3種類を掛け合わせるが、あとは羅臼昆布と椎茸、ネギを引き立て役に使うだけ。スープを研ぎ澄ませることで、地鶏の旨みを際立たせている。
焼豚味玉醤油らーめん2000円
カエシに使う醤油はすべて天然醸造の物。濃口、淡口、再仕込み、たまり、白醤油と5種類の醤油をブレンドし、深みのある味わいを作り出した。
実は、店主は『蔦』や『七彩』といった東京ラーメンの名店で腕を磨いたサラブレッド。地鶏の旨みと切れ味鋭い醤油ダレを融合させたスープからは『蔦』の面影が、オーダーを受けてから切り出す香りの良い手打ち麺からは『七彩』のイズムが伝わってくる。
店主:斉藤淳さん「完全手打ちの自家製麺を提供しています!」
[住所]東京都中央区新富1-9-5・SOPHIAGINZA1階
[電話]非公開
[営業時間]11時半~14時半、18時~20時(売り切れ次第終了)、日:11時半~14時半
[休日]水
[交通]地下鉄有楽町線新富町駅3番出口から徒歩4分