今や日本の国民食となったラーメン。人々の心を掴むにいたった理由はさまざまにあるが、おいしさを求めた先達の志が大きいのは言うまでもない。ラーメンといえばの暖簾を守り続ける店。数多くのメニューの中からラーメンに絞り、その味を守る店。昔ながらの味ながら、今も行列ができる老舗にその矜持を伺った。
家族で守る誠実な料理から、その矜持が伝わってくる『大勝軒』@浅草橋
もやし1本1本のヒゲ根取りも手を抜かない真っ当さに心が震えた。家族でひたむきに守る味はそんな毎日の地道な仕事から生まれている。老舗の大看板を背負うことは覚悟を伴うものだろう。だってここは日本の町中華の源流のひとつ、かつて人形町にあった「大勝軒」の系譜。しかも現存する唯一の店なのだから。
創業から人気のラーメンは麺も自家製(餃子の皮なども!)だ。季節で配合を変える低加水の細ストレートはたおやかなコシがあり、鶏ガラと豚骨で仕込むあっさりした伝統のスープにすこぶる合う。
チャーシューメン850円
常連曰く「定期的に食べないと中毒症状になるんだよ」(わかる!)。ラーメンだけじゃない。どの料理にも歴史と努力と工夫がぎゅっ、その旨さにしみじみ感動。そして家族経営ならではの、体温みたいに伝わってくるやさしく穏やかな雰囲気もこの店が愛される理由なのだ。
3代目:岩上孝之さん・知子さんご夫妻、4代目:岩上夏也さん「毎朝7時から家族で役割分担して仕込みをしています」
[住所]東京都台東区浅草橋2-28-10
[電話]03-3851-1952
[営業時間]11時~15時(14時45分LO)、17時~20時半(20時LO)、土:11時~14時半(14時15分LO)、17時~19時半(19時LO)
[休日]日・祝、第3月
[交通]JR総武本線浅草橋駅東口などから徒歩5分