5500円の入場料が安く感じるほどのウイスキー天国
そもそも、このイベントは何なのか?
出展しているのは国内外のウイスキー蒸留所、ウイスキーを得意とする酒販店、バーなど。各ブースではウイスキーの試飲ができ、ショットやボトルでの販売もある。著名醸造家や評論家らによるセミナーのプログラムも多彩だ。また、秩父グルメをはじめとするフードスペースも充実。まさにウイスキー天国なのである。
まずは地場産センターから探索開始。埼玉県小川町のブリュワリー「麦雑穀工房」のブースがあった。醸造長を務める鈴木等さんには本誌2024年4月号の連載「杜氏の晩酌」に登場していただいた。
「奇遇ですね、1杯ください!」と、自家栽培ライ麦のリーフホップを使った「ラスティックセゾン」をいただく。旨い! ウイスキーを飲みに来たのに、うっかりビールでスタートしてしまった。だが、おいしいクラフトビールをゴクゴクやったことで、ウイスキー試飲の準備が万端整った。
老舗、新興系、有名無名いろいろな蒸留所のブースがある。注目度の高いブースはたいてい各会場の奥にあるが、入口まで列がつくられるほどの人気だ。地元秩父の蒸留所で「イチローズモルト」で知られる「ベンチャーウイスキー」、鹿児島県の「喜之助蒸留所」、福島県の「安積蒸留所」、広島県の「SAKURAO DISTILLERY」などのジャパニーズウイスキーの人気が特に高い。
熊本県北部の山鹿市に2021年設立された「山鹿蒸留所」の2024年の新作をいただく。荒々しさの中にもすでに豊かな風味がある。10年後、同じボトルを飲んでまろやかになった風味に、「お前も成長したなあ、赤ちゃんの頃だっこしてあげたもんだよ」という親戚のおじさんのような気分になれるかもしれない。長期熟成によって風味がよりよくなっていくウイスキーの面白いところだ。

無料試飲できるボトルでもたいていは会場のムードも手伝って十分においしく感じる。有料試飲は1杯300円程度から数千円まで様々あるが、普段は飲もうと思ったら下手すると何倍もするものが多いから、少量を破格値で味わえるこの機会は貴重だ。なるほど、5500円の入場料もウイスキーファンにとっては安いものだと言える。
酒はいける口だが、会場探索開始から1時間、10杯ほど試飲しただろうか。すでにいい気分になってきた。
一体どうなってしまうのか。次回へ続く。
■「秩父ウイスキー祭2026」が2026年2月15日(日) に開催決定!!
詳しくは、HPにて。
https://www.chichibuwhiskymatsuri.jp/
取材・撮影/渡辺 高 撮影/編集部