富士山と“黄色い新幹線”
「見ると幸せになれる」という都市伝説がある“黄色い新幹線”。東海道・山陽新幹線を走る「ドクターイエロー」は、今年(2025年)の1月に“引退騒動”で世間をにぎわせたことも記憶にあたらしいところだ。しかし、なんのことはない。いざフタを開けてみれば、いまでも走り続けているではないか。
これは元々、ドクターイエローが2編成存在し、一つはJR東海(東海道新幹線)、もう一つがJR西日本(山陽新幹線)の所有となっており、去る1月に引退したのはJR東海が所有するT4編成と呼ばれるほうだった。ゆえに、現在もJR西日本が所有するドクターイエロー(T5編成)は、走り続けているのだ。この残るドクターイエローも、2027(令和9)年度以降には通常走っている新幹線での“検測”に切り替わる予定で、引退することは発表済みだ。
訪れた日は、“梅雨の晴れ間”ということで「富士山とドクターイエロー」を撮影しようと、東海道新幹線の三島駅~新富士駅間にある有名撮影スポット「通称=ひだりふじ」へ出かけてみた。やはり6月とはいえ夏の陽気とあって、湿度の高さと気温の上昇も相まって富士山は“かくれんぼ”してしまった。七夕となる(2025年)7月7日にも、お昼前に東京駅を発車し、博多駅までの運行が予定されているドクターイエロー。果たして“七夕”に相応しい天候に恵まれるのだろうか。
富士山の麓を走る“岳南(がくなん)電車”
東海道新幹線を撮影した場所のほど近くに、岳南電車の須津(すど)という駅がある。岳南電車といえば、沿線に点在する製紙工場などの“工場夜景”が綺麗なことでも有名な、「紙のまち」に根差した富士急グループ(山梨県に拠点を置く)に属するローカル私鉄だ。地元では、「がくてつ」とも呼ばれる。
路線は、JR東海道線と接続する吉原(よしわら)駅を起点に、岳南江尾(がくなんえのお)駅までの全10駅、全線9.2kmを結ぶ単線の電気鉄道である。駅員さんがいるのは吉原駅だけで、残る9駅はすべて無人駅である。この路線のイチオシは、すべての駅から富士山を眺めることができることだ。電車は、かつて東京の京王電鉄で活躍した車両で、どこか懐かしい昭和感がただよう。
岳南電車は、沿線の景色を生かした取り組みとして「懐かしい駅の明かりや工場夜景が沿線全体に存在する路線」として、2014年度(第10回)「日本夜景遺産」に認定されている。これからの時季、「夜景電車」(7月5日と19日に運転)や、「ビール電車」(8月9日、9月6日と27日に運転)といった“有料のイベント列車”の運行も予定されている。これらのチケットは、セブンチケットで購入することができる。
