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『浅野セメント』創業者の強烈な後押しで寿司屋開業を決断

“お持ち帰り”が主流だった江戸前寿司 画像提供・銀座久兵衛

ところが、その宴会での様子を見ていた『浅野セメント』の創業者・浅野総一郎(1848~1930年)が、後日わざわざ寿治さんの元へ訪ねてきたそうだ。

「浅野さんは資金援助するから独立して寿司屋を開業しなさいと父に提案したそうです。父は随分思い悩んだようでしたが、信頼する店の店主からの激励もあり、自分の店を開業することを決意しました」

1941(昭和16)年12月に戦争がはじまり、一時休業した時期もあったが、終戦後に銀座に新店がオープンすると『銀座久兵衛』はますます繁盛し、総理大臣の佐藤栄作(1901~75年)や作家の志賀直哉など、各界の要人・文化人も足繁く通う存在となっていった。

手土産から「軍艦巻き」が誕生!そのこだわりとは?

当時の常識を打ち破り、新たなメニューを開発

江戸時代から続く江戸前寿司のメニューの中で『銀座久兵衛』が発祥だといわれているのが、「軍艦巻き」だ。

「太平洋戦争がスタートしたばかりの昭和16年ごろ、海運業を営むひとりの常連客が、物流の少なかった北海道から貴重なウニを持参して、父にこれを寿司に出来ないか?と言ったそうです」

当時、ウニは柔らかく握るとすぐ崩れてしまうことから、寿司のネタとして利用するのはタブーだったようだ。そんななか、新しい発想を形にすることを大切にしていた壽治さんは、二つ返事でそのオーダーに受けて立った。

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海軍の軍艦をイメージした寿司、一躍人気メニューに
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中村友美
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