そもそも土用の日って
今さらだが土用とは、暦の上での雑節の一つで、立夏前の春、立秋前の夏、立冬前の秋、立春前の冬とそれぞれ前の18日間をいう。
でもやっぱり盛り上がるのは、夏の土用丑の日。特に近年の暑さは厳しいものがあるし、体力の低下を招く時期でもあるので、精を付けておきたい。『世界大百科事典』(平凡社)によると、「夏負け防止では土用丑の日の伝承が多く、うなぎやウリ、牛の肉など『う』の付くものを食べる風習がある」とされている。
ちなみに、土用餅というものを私はお恥ずかしながら知らなかった。一般的なの?
『年中行事大辞典』(吉川弘文館)には、「力餅としての土用餅を食べる」とあった。『聞き書 茨城の食事 日本の食生活全集8』(農文協)では、「土用になるともちを搗(つ)く。(中略)搗くのも食べるのも汗だくで、『夏のもちは犬も食わぬ』といわれながら、『土用もちは肉になる』といって食べる」と説明されていた。
特に興味深かったのは、『聞き書 富山の食事 日本の食生活全集16』(農文協)の解説。「7月20日から1週間くらいの間に、土用もち(一升で3個の丸餅)を持っていく」という。その他、同シリーズによると、兵庫県編でも土用もちについての記述がある。
うなぎから話が逸れてしまったが、知らないことを知ることができたのはとても良い経験になった。気づいたら恵方巻きも一般的になっていたし、コンビニのこうした普及力って本当にすごいと思う。
今回、コンビニうなぎの美味しさに気づけたし、とても勉強になって楽しかったし、美味しいうなぎでこの夏を皆さんと共に無事に乗り切りたいと思う。
文・写真/市村幸妙
いちむら・ゆきえ。フリーランスのライター・編集者。地元・東京の農家さんとコミュニケーションを取ったり、手前味噌作りを友人たちと毎年共に行ったり、野菜類と発酵食品をこよなく愛する。中学受験業界にも強い雑食系。バンドの推し活も熱心にしている。落語家の夫と二人暮らし。