こだわりを感じるサイドのデザイン
次にデザイン。2代目ローレルを語るうえではこのデザインがキモとなる。基本的なプロポーションはケンメリスカイラインと同じだが、いろいろオリジナリティが盛り込まれている。独立した角4灯ヘッドライトによる精悍なフロントマスクなどは、アメ車のダッジチャージャーなどからの影響を感じる。これはケンメリも同じ。70年代のクルマをオマージュして光岡自動車の55周年記念車として登場したM55のフロントマスクはケンメリ、2代目ローレル、ダッジチャージャーを彷彿とさせる。
ボディサイドでは、ケンメリがハコスカを踏襲するサーフィンラインを売りとしているが、2代目ローレルはもっと複雑なキャラクターラインが入っている。
注目はサイドマーカーの上から後方へと流れるアーチラインでリアフェンダー上部のラインと合わせてZを描いている。これは2ドアハードトップで顕著で、これによりリアのフェンダーの盛り上がり、ボリューム感が強調されている。この世代のクルマでは珍しい彫刻的な美しさを見せる。セダンもZ形状ではあるがすっきりしていておとなしい印象。
ブタケツローレルの愛称
最大のポイントはリアエンドのデザインだろう。ケンメリが丸型ランプを左右2個ずつ配置しているのに対し、2代目ローレルは灯火類をすべてスチール製のバンパー内に配置している点だ。歴代の日本車のリアデザインでも五指に入る斬新さだと思う。個人的には日産のサニーエクセレントクーペのリアデザインが歴代日本車で最も斬新でカッコいいと思っている。
リアの鉄板面積が広く、ボリュームがあることから『ブタケツ』という愛称が付けられたほど。そう、クルマ好きの間では2代目ローレル、C130ローレルという言い方よりも『ブタケツローレル』というほうが通りがいい。
このブタケツローレルだが、『棺桶ローレル』という別称もある。棺桶の由来には、リアの角張った形状、リアシートに座った時に真っ暗で回りが見えないからなど諸説あるが、全国区なのはブタケツだろう。
兄弟車のスカイラインがケンとメリーから『ケンメリ』で爽やかさ、若々しいイメージなのに対し、ローレルはブタケツと好対照。あとブタといえば、3代目マークIIは『ブタ目』と呼ばれていた。
一方セダンのデザインだが、全体的におとなしい印象。リアデザインも2ドアハードトップのような個性はなくオーソドックス。ただ4ドアセダンのフロントマスク、グリルの模様から『ガメラ』の愛称が付けられていた。
六代目市川染五郎がイメージキャラクター
2代目ローレルのキャッチフレーズは、『ゆっくり走ろう ゆっくり生きよう』というもので、これはハイオーナーカーであることのアピールだ。TV CM、ラジオCM(当時はけっこうあった)では、矢島正明氏の落ち着いたナレーションが印象的。
この頃のCMってトヨタは黒沢良氏、日産は矢島正明氏、ホンダは城達也氏、マツダは納谷悟朗氏といったにそれぞれのメーカー御用達のナレーターがいたのも懐かしい。
そしてCMキャラクターは歌舞伎役者の六代目市川染五郎(現二代目松本白鸚)。ゆっくり走ろうというキャッチながら雪道をガンガン走っているのはご愛敬か。
この松本氏は約10年を経て九代目松本幸四郎の時代に5代目マークII(X70)のイメージキャラクターに鞍替え。よりによってライバル車に乗り換えるなんて……。
とは言え、クルマのCMではライバルメーカー間を行き来するケースは、本木雅弘氏(C34ローレル→コロナEViV、プログレ、アルファード)、木村拓哉氏(RAV4、カローラフィールダー→日産)などなど少なくない。