ダブル受賞&大賞のお弁当、お味は?
金賞&業界賞および大賞のお弁当を見ていこう。
【金賞/TV業界賞】
『オーベルジーヌ』 チキンカレー(1188円)
1987(昭和62)年創業の欧風カレーのテイクアウト・デリバリー専門店。2025年に新宿御苑前に移転し、15年ぶりにカレーソースをリニューアル。弱火で3日間煮込んだ玉ネギブイヨンをベースとし、フォンドボー(子牛から取っただし)とチャツネで旨みを増幅。バターと生クリームで仕上げた濃厚さ。24年4月に、東京駅構内「グランスタ東京」にテイクアウト専門店をオープンし、1日約700食を販売する。入荷は8時、12時頃、15時頃の1日3回。
投票者コメント
・カレーではナンバーワン。特にチキンはサイズが大きく、食べ応えがあるのがうれしい。
・チキンが柔らかく、カレーの辛さもちょうどいい。
・出演者の皆さんが喜んでくれ、話が弾むのがありがたい。
3代目の高橋祐介さん(※「高」は、はしごだか)のコメント:昨年(2024年)はビーフカレーで大賞をいただきましたが、今年はいちばん人気のチキンカレーでこのような賞をいただけて光栄です。テレビ業界に育てていただいたと言っても過言ではないので、業界賞も大変ありがたいです。
ライター実食感想:大ぶりの鶏肉がゴロゴロと入った贅沢カレー。塩とカレー粉でシンプルに味付けオリーブオイルで焼き上げた鶏モモ肉はカレーソースをまといプリプリの美味しさ。中辛口は、甘みのあとに旨みとスパイスがじわじわときいてくる。バターライスは風味良く、ジャガイモのホクホク感も好き。
【金賞/広告・映像業界賞】
『細川出飯社』 画廊弁当(トンテキバターコーン弁当)(1620円)
フランス料理レストランで働いていたフードデザイナーの細川芙美さんが12年前に独立・開業した弁当・ケータリング店をベースとする『細川出飯店』。ユニークな店名は出版社がファッション誌やスポーツ誌などを出すように、それぞれのお客さんにフィットする弁当を出したいという思いから。「美味しいを超えて、楽しくて仕方がないというものを作っていきたいと毎日励んでいます。お弁当が持つ可能性を信じて、この業界に常に新しい風を吹かせられるような存在になれたら」(細川さん)
投票者コメント
・計算尽くされた味わいの組み合わせで、最初から最後まで美味しいが続く。
・現場で必ずかわいいという声があがり、コミュニケーションの活性化に貢献してくれています。
・デザインのかわいさと見た目に負けない味の信頼感が大好きです。
フードデザイナーの細川芙美さんのコメント:出来立ての料理には温度や香りがありますが、お弁当にはそれがない分、食べ手の気持ちを反映できるよう、食べ方を何通りも想定しています。どの角度からお箸を入れるのかを想像したご飯の厚み、野菜を食べる順番で味わいの濃淡をつけるなど、たとえ1分の食事時間しか取れなかったとしても、満足していただけるように考えています。
ライター実食感想:パッケージや野菜の切り方などが洒落ていて、遊び心が刺激される。1cmはあるだろう厚みのトンテキは柔らか。ガブリと頬張って咀嚼することが楽しく、甘みのあるタレもご飯が進む。野菜も副菜もたくさん入り、やさしい味付けで家庭的にも感じるが、丁寧に作られていてやっぱりプロの味。
【金賞/イベント・ライブ業界賞】
『SOMY’S DELI』 8種野菜のザクザクゴマ醤油 サーモン弁当(888円)
デリバリー・テイクアウト専門の弁当店『SOMY’S DELI』。2024年も金賞受賞。骨取りした大きなサーモンにザクザク食べられる自家製のゴマ醤油をのせている。生野菜がメインなので野菜を食べている感がしっかりあるのもうれしい。
投票者コメント
・ザクザクの名の通り、とっても香ばしく美味しくいただきました。
・彩りがよく、男性にも好評なボリュームでした。
・サーモンとお野菜でバランスよいお食事がいただけます。
CEOの澤井一隆さんのコメント:受賞は大変光栄でありがたいです。これからも驕らず、お客様に喜んでいただく商品をスタッフ一丸となり開発していきます。フレッシュな野菜にこだわり、殺菌や冷蔵配送の際なども気を遣っています。冷めても美味しいのは当たり前ですが、ご飯の上におかずや食感のあるゴマ醤油をのせているので混ぜても美味しく召し上がっていただけると思います。
ライター実食感想:目を引くのがやはりたくさん入った彩り豊かな生野菜。他店ではなかなかできないことをやっている。炭火で焼いたふわふわなサーモンの上に独自ブレンドしたザクザクの食感のゴマ醤油は、ガーリックなども入り深みがある味わい。ご飯の上に甘辛く炊かれたお肉ものるが、お野菜とお魚がメインなので、罪悪感が少ないのもうれしい。
【大賞】
『喜山(きざん)飯店』お弁当A(1296円)
中国人コックによる本格中華弁当を提供する、デリバリーとテイクアウト専門の『喜山飯店』。2025年8月で創業40周年を迎える名店だ。2024年も金賞を受賞したが、2025年は栄えある大賞に選ばれた。米などの物価や人件費の高騰を受けながらも「美味しさは大前提」と語る店長の齋藤主一さん。「基本的に冷凍のものや防腐剤などは一切使っておらず、手作りにこだわっています。手間暇を惜しまず、その日に作ったものを作りたてで召し上がっていただきたいので、消費期限はご購入後3時間でお願いしています」
審査員コメント:本当に素晴らしいお弁当で、みんな大好き町中華をはるかに超えるクオリティとボリュームで最高でした。
店長の齋藤主一さんのコメント:ご愛顧いただいているお客様のおかげです。皆様に少しでも貢献できるようスタッフ一同、努めてまいりますので、これからも応援のほど何卒よろしくお願いいたします。
ライター実食感想:この日いただいた「お弁当A」の内容は、麻婆茄子、キクラゲ入りタマゴ、エビチリ、タケノコとひき肉の辛し炒め。ご飯は250g程度、おかずはあふれんばかりに入っていて大満足間違いなし。実際に東京都杉並区の店舗で購入したことがあるが、ほかほかの状態で手渡される。
2024年の受賞店もすばらしかったので、2025年も同じ顔ぶれなのではないかと懸念していたが、少し変わっていたのがうれしかった。現場で大切にされているからこそ、発注者の皆さんがいろいろなお弁当を探しているのがわかる結果だろう。広告・映像はやっぱりオシャレな感じ、イベント業界はお野菜が食べたいよね、というニーズが推測できるところが興味深かった。
長澤さんは「ロケ弁大賞で投票いただくことで僕たちも初めて知るお弁当屋さんもあります。来年も再来年もそういう出合いがあるといいなと思います。ロケ弁大賞で受賞されたことをきっかけに、百貨店さんが行うロケ弁の催事で初めて百貨店に出店された店舗もあり、こうした広がりに喜びを感じます」と教えてくれた。
創造性がより大切になってくるこれからの時代。ロケ弁からたくさんの刺激をいただいた1日となった。
※価格は取材時のものです
文・写真/市村幸妙
いちむら・ゆきえ。フリーランスのライター・編集者。地元・東京の農家さんとコミュニケーションを取ったり、手前味噌作りを友人たちと毎年共に行ったり、野菜類と発酵食品をこよなく愛する。中学受験業界にも強い雑食系。バンドの推し活も熱心にしている。落語家の夫と二人暮らし。