12か国が参加を撤退
大阪・関西万博への出展を表明しながら、撤退した国は12か国もある。自前でパビリオンを建設する予定だった国は、ロシアやアルゼンチンなどの3か国。万博協会が建物を用意していた国は、イランやエルサルバドルなどの8か国だった。それぞれ、お国の事情があってのことだから仕方あるまい。
現状、空き地や空きテナントとなる見込みだった12か国分の展示区画は、そのすべてが別の施設へと生まれ変わり、来場者を迎え入れている。一例では、ロシアの予定地は「フェスティバルゾーン」に、エルサルバドルは「ミャクミャクハウス」に、といったぐあいだ。なかでも、コネクティングゾーン内でイランが入る予定だったパビリオンには、「夜の地球 Earth at Night」として 能登半島地震の被害を免れた輪島塗りの「大型地球儀」が展示される。

メディアセンターってどんなところ
EXPO2025大阪・関西万博の情報発信基地であるメディアセンター。ここには世界各国のマスコミが集まり、日々の情報や万博関連のニュースを配信している。そこに集う人々は、皆一様に”ライバル”なわけで、ピリピリとした独特な空気感が漂い、お世辞にも気が休まる場所だとはいえない。
人間、黙っていてもお腹は空くもの。ここには、働くスタッフが一堂に会する食堂(Staff Cafeteria)もあったりする。支払いは、会場内と同様に“電子マネー決済”のみだ。運営は日本の大手レストランチェーンが行なっており、さしずめ従業員食堂といったところだろうか。メニューは至って普通で、定食や丼もの、麺類など5種類から選べる。このほか、小さなコンビニも併設されており、カップ麺やおにぎり、サンドイッチも購入できる。
店内は、さすが“万国博覧会”なだけあって、各国のパビリオンで働く人たちが集う。色々な言語が飛び交い、さながら外国にいるような錯覚さえ覚える。食事を済ませ、そんな空間から一歩外に出れば“締め切り”という現実が待ちかまえているのであった。
文・写真/工藤直通
くどう・なおみち。日本地方新聞協会特派写真記者。1970年、東京都生まれ。高校在学中から出版業に携わり、以降、乗り物に関連した取材を重ねる。交通史、鉄道技術、歴史的建造物に造詣が深い。元・日本鉄道電気技術協会技術主幹、芝浦工業大学公開講座外部講師、日本写真家協会正会員、鉄道友の会会員。