伊勢の歴史と文化に浸る、暮らすような滞在
客室は、商人の町・伊勢河崎にある本物の蔵と切妻の町家を活用。明治初期から昭和期に建てられた6棟を、それぞれの特性や歴史的価値を保ちながら丁寧に改修しているそう。今回おじゃましたのは、明治44(1911)年に建てられ、かつて履物屋として親しまれたTOKIWA棟だ。
建物に一歩足を踏み入れると、重厚感のある扉が当時のままの姿で出迎えてくれる。構造材の柱や梁には、長い時を経た素材が光る。扉のそばには円卓が配置され、光が差し込む窓からは、庭の緑を望むことができる。
さらに進むと、伊勢地域の自然や文化に深く息づく「柿色」をキーカラーに使用した、温かみのあるリビングが登場。柿渋は、防腐・防虫・抗菌効果があり、古くから暮らしに活用され、漆器の「伊勢春慶(いせしゅんけい)」や、着物を染める際の型紙として使われる「伊勢型紙」に使われてきたそうだ。
実際に使われていた、商店の蔵を独り占めできるこちらの建築は、2階建て。上の階にも同じように2つのベッドと書斎があり、広々した空間でゆったり寛げる。
冷蔵庫にあるミニバーやソフトドリンクはすべて無料。伊勢神宮御料酒献上蔵の「白鷹」の清酒や「ISEKADO」が手がける地ビールなど、地域ならではの味わいを堪能しつつ、ほっと一息いれよう。
バスルームには、「伊勢のみそぎ湯」という入浴剤が設置されており、「お伊勢参り」の前に湯水で身を清めてから参拝する習わしを再現できる。三重県産の貴重な天然素材を含んだ入浴剤は、ミネラル成分が豊富だ。