旬の食材は食べて美味しいだけではなく、栄養もたっぷり。本コーナーでは魚や野菜、果物など旬食材の魅力をご紹介します。
さて、今回のテーマとなる食材は?
文/おと週Web編集部、画像/写真AC
■いい香り
正解:マルメロ
難易度:★★★★★
ポプリとしても使えます
マルメロは、バラ科の落葉高木です。原産地は西アジアから南東ヨーロッパにかけてで、日本には明治時代以降に渡来しました。
見た目は洋ナシに似た黄色い果実で、表面には細かい毛が生えており、香りが非常に強いことが特徴です。果実の大きさは10cm前後で、ずっしりとした重みがあります。
マルメロの木は高さ3~5mほどに成長し、春には淡いピンク色の花を咲かせます。桜に似た可憐な姿をしており、観賞用としても人気があります。
果実は秋に実り、熟すと鮮やかな黄色になります。
古代ギリシャでは、マルメロは「愛と豊穣の象徴」とされ、結婚式の贈り物として使われていました。また、シェイクスピアの作品にも登場するなど、ヨーロッパの文学や文化に深く根づいています。
カリンと混同されがちですが、両者は別種です。見た目は似ていますが、マルメロのほうが果実が小ぶりで香りが強く、果肉はやや柔らかめです。
葉の形や花の色も異なり、マルメロの葉は丸みがあり、カリンはやや細長い形状をしています。
旬の時期は10月から11月頃です。秋が深まるにつれて果実が黄色く色づき、香りが強くなってきます。収穫後しばらく追熟させることで、香りがさらに豊かになり、加工に適した状態になります。
果肉が硬く、渋みや酸味が強いため生食には向かず、加熱して食べるのが一般的です。加熱することで果肉が柔らかくなり、渋みが抜けて甘みと香りが引き立ちます。
代表的な食べ方としては、ジャム、ゼリー、コンポート、シロップ漬けなどがあります。
とくにジャムは、食物繊維の一種であるペクチンという成分を多く含むため自然にとろみがつきやすく、鮮やかな黄金色に仕上がります。
ヨーロッパでは「マルメロジャム」は伝統的な保存食として親しまれており、チーズやパンと合わせて食べることもあります。
日本では寒冷地で栽培されていることが多く、とくに長野県ではマルメロを使った加工品が地域の特産品として親しまれています。地元の道の駅などでは、マルメロジャムやマルメロジュースなどが販売されていることもあります。
香りが非常に強いため、芳香剤やポプリの材料としても利用されます。果実をそのまま部屋に置いておくだけで、甘く爽やかな香りが広がり、天然のアロマとして楽しめます。
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