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「びっくりドンキー」の2つの特徴的なハンバーグ

そんなこだわりのお肉を使った「びっくりドンキー」のハンバーグ。お箸で簡単に切れる柔らかさとジューシーさを伴っている。秘伝の醤油ベースのソースも風味がよく、あと引く味わいだ。これまで食べてこなかった自分に後悔した美味しさだった。種類も豊富なのでいろいろと食べてみたい。

さらに「びっくりドンキー」では2つの特徴的なハンバーグがある。いずれも、なんらかの事情を抱えている場合でも、家族や友人などと食事の時間を共有し、楽しんでほしいという思いから開発された。

動物性原料を使わずに作られた「ソイカリーバーグディッシュ」(1520円)ともうひとつが「乳・小麦・卵を使わないハンバーグ」(860円)とそのまんまのネーミング。

商品本部でグランドメニュー企画担当を務める小澤友裕さんは「どちらもニーズはすごく少ないのが正直なところです。『ソイカリーバークディッシュ』は月間2000食ほど、アレルギー対応のハンバーグは6000食程度しか出ません。それでも我が社にとって、またグランドメニューを担当する者として、このメニューは絶対に必要で大事な商品なのです」と話す。

期間限定商品の場合、月間約50万食出るそうなので、全国に約350店舗あるチェーンとしてこの販売数はいかに少ないかわかる。

小澤さんによると、「ソイカリーバーグディッシュ」は動物性の原料を使わないというところから開発がスタート。

メインの肉の代替品は大豆を使用しているが、ハンバーグとして成形するのは大変。多くの場合、結着剤としてメチルセルロースという食品添加物を使うそうだが、こうした化学製品の使用を避けるため、同社では、こんにゃく成分でできたマンナンを使っている。

「砂糖を精製する際の脱色剤として、骨炭を使っていることが多いのです。そのため、原材料の製造工程で使用される加工助剤まで調査しています」(小澤さん)

ただし、店舗では多くのお肉を使ったメニューを取り扱っているので、混入の可能性が生じるため、ヴィーガンとは謳っていない。

「ソイカリーバーグディッシュ」

「乳・小麦・卵を使わないハンバーグ」について小澤さんは、

「アレルギー対応のハンバーグはさまざまな会社で開発していますが、アレルゲン28品目を使用しないなど、数を競うケースが多いのです。私たちは、乳・小麦・卵の3品を使用しないと絞り込むことで、粗利率も気にせずにしっかりとした原材料を使いこだわってとにかく美味しいハンバーグを作ろうと決めました」と話す。

小澤さんが店舗スタッフとして働いていた時に、グループ客の中で一人だけお弁当を持ち込みしている小1くらいの男の子がいたことが開発の契機になったと教えてくれた。

「とても楽しそうにお弁当を召し上がられていましたが、彼はその世界しか知らないわけです。ハンバーグも食べたことはないでしょう。

ですから、みんなと同じようなディッシュで、アレルギーの人でも食べられるハンバーグを作ることで彼がもっと楽しめる世界や可能性を広げることで、『びっくりドンキー』への期待値を上げられるのではと考えました」

「乳・小麦・卵を使わないハンバーグ」

こだわりは使用する肉の品質を下げないようにして、美味しさを保つこと。

肉の細胞をなるべく壊さない解凍方法を工場に導入し、普通のハンバーグと比べても遜色ない美味しさに仕立てている。

つなぎとして、普通のハンバーグではパン粉を使うが、「乳・小麦・卵を使わないハンバーグ」では米粉パンを作りパン粉にしているのだとか。

ミックススパイスもアレルギー対応のものを作り、ハンバーグのソースに使う醤油ももちろん小麦不使用というように、中間原材料も徹底している。

実はこの「乳・小麦・卵を使わないハンバーグ」、2017(平成29)年4月に導入したのだが、発売5日後に誤提供によるアレルギー事故が発生し、販売停止になったという経験を持つ商品。

誤提供を防ぐためにどうしたらいいかを考え、ランチョンマットを作る、オーダー用紙をクリップに挟んでわかりやすくするだけでなく、オーダーが入ったことをキッチンに伝えることを徹底し、安全に提供できるオペレーションを確立し、5ヶ月後に再販売をした。

「乳・小麦・卵を使わないハンバーグ」の誤提供を防ぐためのランチョンマット

みんなに美味しく楽しんでほしいと願う、「びっくりドンキー」の挑戦は続いている。

今年の夏休み、どこにも連れて行ってあげられなかった甥っ子は卵のアレルギーがあるし、私もゆるりとグルテンフリーに取り組んでいきたいと考えているので、新学期が始まったら一緒に行ってみたいと思う。

※地域、店舗によって価格が異なり、一部店舗では取扱いのない商品があります。

スタッフさんのエプロンや配膳ロボットに現れている数式、何が書かれているか解けるかな?

文・写真/市村幸妙
いちむら・ゆきえ。フリーランスのライター・編集者。地元・東京の農家さんとコミュニケーションを取ったり、手前味噌作りを友人たちと毎年共に行ったり、野菜類と発酵食品をこよなく愛する。中学受験業界にも強い雑食系。バンドの推し活も熱心にしている。落語家の夫と二人暮らし。

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市村 幸妙
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